COLUMN
テレビのこと、そして映画。
2007年に買ったHDD内蔵プラズマテレビ。通常の視聴に問題はないけれど、録画するとブロックノイズが盛大に載ってとても視聴に耐えられない。というわけで、新しく買うことに。
前のテレビは、奥さんが「家事するときにチラ見するのに良いから」と、そのまま残す。
直樹が「テレビって自宅に2台はいらないモノの筆頭とは言わないけど上位だよね」と。
衝撃を受ける。
おそらく、10年前まで、少なくとも20年前には、複数台、できれば各部屋に欲しいモノの筆頭がテレビだったハズ。
テレビの視聴スタイルも変化したらしい。
アメリカでは、ほぼ録画ということをしないんだとか。いわゆるネット番組ばかりだから。
オンデマンドで見られるなら、録画の必要ないのか。
それにしても、4K有機ELテレビ。めちゃくちゃキレイ。
でも、番組の見始めは「キレイだなぁ」と思うけど、番組の終わり頃にはそんな気持ちはどこかに消えている。画質のキレイさよりも番組のおもしろさの方が重要なのは、当たり前と言えば当たり前なのだろう。
むしろ、静止画を観るためにこその、4Kテレビだ。
自分の写真を大画面4Kテレビに写し出してみる。これはちょっとした感動。自分の写真をそんなに大きく引き伸ばす経験なんて、そうはないからね。正直なところ、ムリしてでももうワンサイズ大きなテレビを買えば良かったと、少し後悔している。いや、高くて買えなかったけれど。
いままで写真は長辺を1,920ピクセルにリサイズして保存しておいたけれど、これからは3,840ピクセルで保存しなければ。
写真クラスタの諸君は、是非とも4Kテレビを買ってくれ。
写真クラスタ以外の一般ピーポーの諸君にとって、新しいテレビの魅力(ぼくの12年前のテレビとの比較という意味だが)はAndroidTVとしてのものだ。インターネットテレビと呼んでも良いのかも知れない。
00年代、「インターネットテレビ」が発売されたとき、「いらねーよ」と思った人が大半だったはずだ。実際、ほとんど売れなかったらしい。フジテレビ買収騒動時に、ホリエモンはさかんに「ネットとテレビの融合」みたいなことを言っていた。でも、それを単なる方便(さすがに「金儲けしか興味ない」とは言えないだろ)と思っていたのは、ぼくだけではなかったはずだ。
2020年(実際にはもう少し前からなんだろうけれど)、機は熟した。インターネットテレビ以外の選択はあり得ない。
個人的なハナシだけれど、数年前から地上波、BS、CSを問わず、テレビ番組はほとんど観ない。たまに観る「NHKスペシャル」とサッカー中継以外は、まったく観ていない。
しかし、今年に入ってから契約した、Amazon prime video(ホントはNetflixと契約しようと思ったんだけど、Amazonの方が安かったので)を毎日観ている。
もちろん、そこにすべての作品が網羅されているわけではない。印象としては、作品名を検索した際にヒットするのが2/3、そこから(月額基本料金のみの)無料で観ることができる作品が半分。つまり、検索した作品の1/3程度しか観られない。それでも、観るべき作品は無限にある。
これまでに観た作品を列挙してみたい。
ひとつは、備忘として。
もうひとつは、「そういう趣味なら、あれ観たら良いよ」という諸君のお薦め作品を募るため。是非、お薦め作品を紹介してくれ。
「人のセックスを笑うな」(2008)
タイトルと出演者(永作博美、蒼井優)に釣られて観たんですけどね。
今までに観た映画の中で、一番つまらなかったんじゃないだろうかと言うくらいつまらなかった。あまりのつまらなさに衝撃を受けて、思わず最後の最後まで観てしまったという、ある意味貴重な作品。ついでに言っておくと、まったくエロくない。オッパイが出てこないのはまだしも、作品を通してエロさをまったくカンジさせないのはタイトルからして詐欺だろう、と。じゃあ他に何かって、何もない。まさに、山なしオチなし意味なしという本来の意味での「やおい」作品。
「言の葉の庭」(2013)
一部で、新海誠は「君の名は。」で変わった、と言われているのを聞いた。一番良いのは「言の葉の庭」だ、と。それを信じて観たけれど、しょーもない映画だった。
絵は好きなんですよ、絵は。
彼の作品はもう観ないと思う。
「シン・ゴジラ」(2016)
奥さんと一緒に劇場で観たのを、今度は家で家族みんなで。
何も考えずに楽しめる。もしまだ観ていない人は、是非。
以前に書いたレビューは こちら。
「カメラを止めるな!」(2018)
すでに各方面で絶賛されている本作ですが、ぼくも、その絶賛するひとりに加わりたいと思います。
おもしろかった。そして、見事だった。
言われておりますように、低予算の映画です。
そんなわけで、映像は残念なクオリティ。
見始めてすぐに、
「うわぁ、こんな映像に100分も付き合わなくちゃいけないのか」
と思わされること必至です。
でも、我慢して最後まで観て下さい。その我慢は報われます。
あ、ゾンビ映画ではないから。それを理由に敬遠している人は、ご安心を。
未見の人は、事前情報を入れずに観てきて。
いやまぁ、事前情報があったって楽しめますけどね。ぼくはもう一回観ても良いくらいに思ってるから。
「ウォーキング・デッド(シーズン1~8)」(2018~2017)
アメリカのテレビドラマ。シーズン9(2018)までが無料配信。10(2019)の有料配信が最近始まった。11の制作も決定しているそう。
ゾンビものへの抵抗があったし、シーズン10とか長過ぎだし。でも、かなり話題だったので、早期撤退も視野に入れつつ見始める。
これが面白い。めちゃくちゃ面白い。
奥さんと二人で、毎日2~3話ずつ。だいたい1週間で1シーズンのペース。で、およそ2ヶ月、休まず観た。
ゾンビの恐ろしさみたいなのは、回を追うごとに薄くなっていく。それは、視聴者だけではなく、登場人物もゾンビを恐れなくなっていくという意味で。
基本的にはゾンビは鈍くさいので、油断しなければ倒すことができる。大群に遭遇してしまって食い殺されるというエピソードをちょいちょい挟みつつも、人々は(登場人物も視聴者も)ゾンビに慣れていく。「ゾンビは正しく恐れよう」みたいな。
このドラマのキモは、ゾンビに覆い尽くされた終末世界における人間模様だ。
登場人物は常に意見を対立させる。些細なことであれ、大きな問題であれ。そこで論争的になるのがアメリカ的というのか欧米的というのか、日本的に「空気読めよ」とは絶対にならない。もちろん、お前いつまで言ってるんだよというケースも、そこはドラマなので、その台詞には常になにがしかの意味があるのではあるけれど。
ゾンビを恐れなくなっていく人々が恐れるのは、人間だ。
「ゾンビよりも怖いのは人間だった」みたいな。
仲間の言葉を信じるべきか無視するべきか。強い者に従うべきか裏切るべきか。新たに現れた人物は、敵なのか味方なのか。戦うべきか仲間に引き入れるべきか。常に決断を迫られる。それは多くの場合、同時進行的に。
そして、その決断が正解だったかどうかは、結局よく分からない。正解と思った決断がピンチを招き、そのピンチは後の行動にいきる(こともある)。禍福はあざなえる縄のごとし。
「これからの正義の話をしよう」よりも論争的。ウォーキングデッド白熱教室。
これ観ただけで、Amazon prime videoへ支払った金額の元は取れる、どころか、おつりが来る。残りのシーズンも、スピンオフ作品の「フィアー・ザ・ウォーキング・デッド」も観るだろう。「フィアー~」もシーズン5まであるらしいので、当分楽しめそう。
「LUCY」(2014)
「通常は10パーセント程度しか機能していない脳が、100パーセントへ向かって覚醒していく」という、ぼく好みのプロット。以前CMを見て気になってた。
途中、フランスでのカーアクション。「まるっきり「TAXI」じゃん」と思ったら同じ監督リュック・ベッソンでした。
脳の覚醒とかは、どうでも良くなっちゃうんだけど、アクション映画としてフツーに楽しめます。
「クローバーフィールド/HAKAISHA」(2008)
面白い。要するに「ゴジラ」。実際、制作陣は日本の「ゴジラ」にインスパイアされたと言っているそう。「ゴジラ」とは違い、怪獣はあまり映らない。
最後にオチみたいなのはなくて、物語の一部のみを切り取って映画にしちゃったというカンジが斬新。しょーもないオチを無理矢理つけるよりよっぽど良い。
「ゾンビ・リミット」(2014)
ぼくの友人の中で最も映画通のシュウちゃんは「ゾンビものにハズレなし」と、以前から連呼している。映画好きの間で広く共有される見解なのか、シュウちゃんオリジナルの持論なのかは知らない。いずれにしろ、偏見の塊であるぼくは、聞き流してきた。
しかし、「ウォーキング・デッド」があまりに面白く、毎日観てたらぼくもゾンビに慣れてきちゃって、ふと彼の言葉を思い出す。そしてこの映画を観てみようかと。
うん、けっこう面白かった。ゾンビものと言うより、サスペンスだけどね。
ラストのラスト。おまけのように足されたシーンが、ぼくは蛇足だと思って、そこが残念だったかな。
「カメラを止めるな!」「ウォーキング・デッド」そして本作。考えてみれば「バイオハザード」も好きだったわ。
ぼくも「ゾンビものにハズレなし」ってのを支持するよ。いまのところは。
「300<スリーハンドレッド>」(2007)
なんとも田舎くさい作品。だからダメかと言うとそんなこともなく、むしろ、ぼくのスパルタ(と言うかギリシャ)に持つイメージにぴったり。ギリシャって田舎でしょ?
彩度を落とし赤を強調した(?)映像はオシャレ。エンドロールがかっこよくて、思わず最後まで観ちゃうんだけど、やっぱりダサい作品。
「トータル・リコール」(2012)
「トータル・リコール」(1990)
タイトルだけは聞いたことがあって、名作なんだろうから一応抑えておくか、と観てみた。知らずにリメイク版を先に観て、「こんな新しい作品?」と調べて、オリジナルを見付ける。シュワちゃん作品だったのか。
どちらも面白い。個人的には、もうひとひねりあったらさらに面白かったかな、とは思うけれど、でも面白い。
「トータル・リコール」で特筆すべきなのは、1990年シュワちゃん版の古さ。
リメイク版と比較するから余計に古く感じるのかも知れないけれど、とにかく「古っ」と思いながら観た。
少し前になるんだけど、ネット上で「東京の日常風景」という動画が話題になっていた。
Youtubeで検索すれば出てくるので(これも新しいテレビならサクッと検索出来るのだ)、興味のある人は観て欲しいんだけど、1992年の東京の映像。当時としては珍しいHD画質というのが貴重なんだそうだ。
そこに映し出される28年前の東京は、正直なところ、いまとあまり変わらない。新幹線は(いまはなき)100系が主力、みたいな違いはもちろんあるけれど、「風景」はほとんど変わっていない。一番の違いは、ずらっと並んだ電話ボックスから、タバコくわえたオッサンが出てくるシーンだろうか。
古くさい映画と変わらない風景。
興味深い対比。
「サバイバー」(2015)
尊敬する先輩からの紹介。
んー、フツーじゃないすか?
「blank13」(2018)
もともと難聴気味で、さらに加齢のせいで、最近ますます耳が遠い。台詞がしっかり聞き取れない。
そこで、字幕ですよ。邦画でも字幕。
が、残念ながら、ネット動画配信だと、字幕の有無が選べない。
ということを、久しぶりの邦画で思い出した。
作品としては、まあまあ。
「キス・オブ・ザ・ドラゴン」(2001)
カンフーアクションは好きなんだけど、設定があまりにも雑すぎる。笑っちゃうくらい雑なんだけど、かと言ってコミカルなシーンはない。
2001年の映画。この映画からもまた、30年分の進化を思い知らされる。
「アメリカン・スナイパー」(2015)
実話。
実話であることを知らずに見ても、ラストで「これ、実話なんだ」とすべてを了解させる素晴らしい演出。
かつて、テレビで高校生(中学生?)が「なぜ人を殺してはいけないのか?」という問いを発し、そこにいた大人が誰も答えられなかった、という事件があった。たぶん酒鬼薔薇聖斗の事件の少しあとだったように思う。
宮台センセは「人を殺してはいけない、というルールを一般化した社会は歴史上一つもない。あったのは、仲間を殺すな、仲間のために人を殺せ、というルール」と言っていた。なるほど。
多くの兵士がPTSDになる、というのはよく知られた話だ。
この映画の主人公も、そこまで重症ではないけれどPTSDになる。わりとあっさり完治するが。
ふと思ったのだが、イラク兵やアフガニスタン兵(4回も派兵されているので、敵は様々なのだ)は、アメリカ兵を殺したのち、PTSDになるのだろうか?
なんとなく、ならない気がする。彼らにとって、アメリカ兵は疑う余地のない敵だろうから、と思うんだけど、どうなんだろ?
「オール・オア・ナッシング~マンチェスターシティの進化~」(2018)
直樹と二人で観ている。こういうスポーツドキュメンタリー、大好き。
かつて「六月の勝利の歌を忘れない」というDVDを大枚叩いて買ったことがある。
それくらい好き。マンC以外のシリーズもあるようで、楽しみ。
「義兄弟 SECRET REUNION」(2010)
ぼくは「韓流映画にハズレなし」と叫びたい。「シュリ」観て度肝を抜かれて、そこから韓国映画をいくつも観たけれど、明確なハズレは1本だけ(「デイジー」)。
と言うわけで、「もうすぐ見放題終了」のリストに見付けた韓国映画を観る。
正直、これはどうってことなかった。つまらないとは言わないけれど…。
あー、早く「パラサイト」観たい。
ちなみに、韓流ドラマは蕁麻疹が出るんじゃないかってくらい受け付けないです。映画とドラマで、なんでそんなに違うんだろ?
今年観た作品は、取り敢えずこんなとこ。
不要不急なお出かけが禁じられ、各種イベントが中止となっているいま、家で映画観ようぜ。
んで、おもしろかったのを紹介してくれ。
2020年3月11日
例えば、ポートレート写真。ぼくはついつい(モデルの多くは女性なので)顔が好みかどうかを見てしまう。というよりも、顔しか見ていない。当然、写真としての良し悪しは、モデルの顔の作りで決まるわけではない。分かってはいても、顔だけを眺めてしまう。そんなわけで、いつまでたっても写真が上達しない。
落語は、基本的にはしょうもない話で、オチもたいていは単なるダジャレ。しかし演者によって同じハナシでも笑えたり笑えなかったり。つまりストーリー自体はほとんどどうでも良いんだ、ということが分かる。
そう、分かってはいるのだ。でもぼくは、映画を観るとき、ストーリーのおもしろさばかりに注目してしまう。ストーリーだけなら、脚本読んでろよってハナシ。
本当の映画好きは、映画を総合的に観る。
ぼくもそうでありたいと思いつつ、今日も「くだらないハナシ」なんて思いながら観てしまう。くだらない。
「アフタースクール」(2008)
「もうすぐ見放題が終了」というリストに載っていて、かつ、評価がすごく高かったので観ることに。
伏線が回収されてどんでん返し、という最も好きなタイプの映画。でも、あまりおもしろいとは思えなかった。伏線の回収が、なんとなくしっくりこない。
残念。
「舟を編む」(2013)
めちゃくちゃ面白い。しかし、良くこんなストーリーを映画にしようと思ったな、と感心する。辞書つくる話だよ?誰が観るんだよ?
いやでもホントに面白いです。
「ワンダー 君は太陽」(2017)
丸クンのご推薦。
丸クンの推薦作品は邦画が多い。でも、どうやらAmazon prime videoでは、邦画は「見放題」からの入れ替えが激しいようだ。ほとんどが有料になっている。
というわけで、こちらは洋画で見放題。
障害持った子どもが主役のヒューマンドラマ、とか、敬遠するタイプの映画。
でも、それは良い意味で裏切られた。
ヒューマンドラマ、に違いはないけれど、どちらかというとヒーローもの。
遺伝子疾患で顔がフツーでない子どもが、そのアタマの良さによって、活躍する。活躍と言っても、小学生の常識的な範囲の活躍だけど。
いやまぁ、障害があったって結局はアタマの良い奴が勝つんだという、当たり前と言えば当たり前のハナシ。
現実の日本だと、乙武洋匡さんの活躍、みたいなハナシ。
彼も「五体不満足」だけど、アタマの良さでご活躍だからね。
「5人と関係を持ちました」ってなんだよ、チクショー。
アタマの悪い差別主義者以外には、楽しめる作品だと思います。
「海街diary」(2015)
「是枝監督にハズレなし」を更新する。
でも、正直なところ、そこまで面白いわけでもない。似た系統の「歩いても歩いても」がスゴすぎて、比べちゃうとちょっとね。
「スカイライン-征服-」(2010)
「スカイライン-奪還-」(2017)
なんじゃ、こりゃ(笑)
「復活の日」(1980)
スゴイ映画を観てしまった。
こんなスケールの大きなハナシ、そうそうないでしょ。
オレの心のベスト10に入ってくると思うよ。
「貞子vs伽椰子」(2016)
いつもなら、絶対に観ないタイプの映画。でも、シュウちゃんお薦めだったので、食わず嫌いも良くないかと、観てみることに。
やっぱり好きじゃないけど、映画としては良くできていて、退屈はしない。
ホラー映画というジャンルなんだろうけど、そんなに怖くはない。オッサンになると、こういうタイプの怖さは感じないんだろう。子どもの頃は怖かったお化け屋敷が、もうちっとも怖くないのと同じように。
オッサンが恐れるのは、「晶子(奥さん)vs香菜子(仮名)」みたいな実録もの。これはもうシャレにならない恐怖だ。
2020年3月15日 追記
例えば、登山。ぼくの趣味は登山、と言って差し支えないと思う。
でも登山は疲れるからね。趣味であったとしても、少し間隔が空くと、億劫になってしまうのだ。
逆に一度登ると、週1で登りたくなる。週1で登りはじめると、週1が週2、週3で登りたくなってしまう。
わりとハマりやすいタイプなのだ。
というワケで、引き続き、映画にハマっている。
なかば「仕事だ」くらいの勢いで観ている。
が、
一日に3本6時間が限度かなぁ。
毎日8時間働いている皆さん、あたまが下がります。
「最強のふたり」(2011)
「人生の動かし方」(2017)
フランス語圏で暮らすマノリから「仏映画の名作中の名作」とお薦めされたのが「最強のふたり」。
いやぁ、文句なしでおもしろかった。
んで、リメイク版があると。「独占配信!」などとAmazon prime videoが激推ししてくるので、観てみる。
リメイク版は冴えない。
フランス映画を米国でリメイク。エスプリが抜け落ちちゃったですかね。
ハナシ自体は実話ベースだからほとんど同じ。違うところも、リメイク版の方が整理されていて分かりやすいくらい。
でも、ダメ。
主役の二人のオッサンが地味な上に、脇役でしかないハズのポジションに、ニコール・キッドマン。常に彼女の方を見ちゃうから。
オッサン二人だけのシーンも、なんか盛り上がらない。二人の掛け合いで盛り上がっていくところが、この話のキモなのに。
「パディントン」(2014)
「パディントン2」(2017)
お薦めされたのは「パディントン2」。でも、並んでれば「1」から観ちゃうよね。うん、「2」だけで良かった。
子ども向けだと思うけど、観る人を選ばない映画でしょう。しゃべるCGのクマが気持ち悪くなければ。
「君の膵臓をたべたい」(2017)
あちこちでお薦めされていたんだけど、決定的だったのは高山。
「大腸がんのために虎の門病院に入院しました。そんな大腸を切ってつなぐ手術の前の晩に、わざわざ「君の膵臓をたべたい」を見てしまった」
だって。
似たようなハナシはいくらでもあると思うんだけど、この映画を良いと思う理由ってなんなんだろうってしばらく考えてしまう。
主人公の女の子が死ぬことは既定路線。死と向かい合う、という意味では、これは黒澤明「生きる」と同種の映画なのか。死を覚悟しつつも明るく振る舞うってのは「ライフ・イズ・ビューティフル」に通じるものがあるのか。
褒めすぎだろうか?いや、すごく良い映画だと思う。
「全員死刑」(2017)
予告篇観たら「冷たい熱帯魚」の文字が躍っていたので、いやな予感がしたんだよ。ダメなんだ、こういうの。
ダメなんだけど、年に一度くらいは観とくべきなんじゃないかと思っている。
登場人物とぼくらの間には、大きな断絶がある、ような気がするけれど、実際には紙一重の違いしかないんじゃないだろうか。
だから、一歩間違えればぼくもああいう生活だったのではないか、という恐怖に心を揺さぶられる。違う時代だとか違う国のハナシとして描いてくれるなら、単なるバイオレンスものとして観ることができるんだけど、現代日本のハナシとして描かれると、可能性の問題としてリアルすぎるのだ。
生まれる場所は選べないと言うじゃないか。もしぼくが、あの一家の一員として生まれていたら…。本当に恐怖だ。
「ジョン・ウィック」(2014)
「ジョン・ウィック:チャプター2」(2017)
ひたすらキアヌ・リーブスのアクションを愛でるための映画。それ以外の要素は、ほぼない。
「コーヒーが冷めないうちに」(2018)
サムネイルの有村架純を見て、まったく期待出来ないな、と見始めたんだけど、すごく良い映画でビックリした。失礼しました。
「宇宙戦争」(2005)
これ、観たことあった。でも、ほぼ記憶になかった。
唯一おぼえていたのが、娘が「手にトゲが刺さった」と言うシーン。父親のトム・クルーズが「放っておくと化膿するから抜いてやる」と言うのに娘は「自然に抜けるから触るな」と。ストーリーとまったく関係ない。
そんな親子のやり取りとか、群衆のパニックぶりとか、スゴく良く描けていて、感心。
敵の無敵っぷりを強調しすぎたせいか、ラストのあっけなさに若干の腹立たしさをおぼえる。
それにしても、見終わってなお、ほとんど思い出さないことに驚く。良い映画なんだけどなぁ。
「ナイト&デイ」(2010)
しっちゃかめっちゃかだけど、楽しい。
「カラスの親指」(2012)
まあまあ。
160分は長すぎ。
「スローな武士にしてくれ」(2019)
NHKのドラマ。
ドラマ仕立てで、カメラなどの最新技術にスポットを当てるというアイディアがおもしろい。そしてなにより、ドラマ自体が秀逸。
ぼくの好きな「蒲田行進曲」へのオマージュってのが一番の訴求ポイントではあるんだけど、それとは関係なく、ストーリーも良くできている。
すごくおもしろかった。
「スローなブギにしてくれ」(1981)
曲は知っていたけれど、同じタイトルの映画があるとは知らなかった。ていうか、この映画用に作られた曲がそれなのね。
浅野温子の初主演作だとか。もう一人、浅野姓の女優が出ていてW浅野?と思ったけれど、別人だそうです。
最後まで観るのがツラくなるツマらなさ。
「イリュージョニスト」(2010)
ノスタルジックな絵がステキだけれど、ストーリーとしてのカタルシスがまったくないので、なかなかツライ。
引き続き、オススメ作品を、お待ちしています。
2020年3月21日 追記と改題
というわけで、ひとまずここまで。
「墨攻」(2006)
トップがアホで、国が滅びる。
識者の主張は、正しいかもしれないが、それでは国を救えない。
いつ、どこの国のハナシ?
「翔んで埼玉」(2018)
人生の1/8が埼玉県民であるぼくが、謹んで拝見する。
なにこれ?
魔夜峰央は、「パタリロ」もそうなんだけど、「おもしろい」とは言いたくないけれど、かと言って「つまらない」と切り捨てるのも気が引けるんだよね。
本作も、そんなカンジ。
YOSHIKIが出てきたあたりから徐々に盛り上がる。エンディングに流れるはなわの歌「埼玉県のうた」は名曲。
ところで、なんで坂戸は出てこない?
「チェルノブイリ・ハート」(2003)
東日本大震災の折、他人のことを「放射脳」とバカにしてたような連中は、これ観たら良いんじゃないの?って思ったら、どうやらもれなく観ているようで、レビューサイトで最低評価連発してた(笑)。
画質にしろ編集にしろ、映像としての質は低い。そして、観たっておもしろくはないけれど、一度観ておいた方が良い映像じゃないかな。
「プリズナーズ」(2013)
これはおもしろい。
オレの心のベスト10、「羊たちの沈黙」と入れ替えようか悩む。
紹介してくれたシュウちゃんに
「おもしろかったよ!」
と報告したら
「ドゥニ・ビルヌーブはどの作品もレベル高くて、マジ信頼できる監督」
と。
へー、他に何撮ったのかな、と検索してみたら「メッセージ」。
これはヤバい。
「パラサイト」(2019)
こんなご時世に映画館に来るなんてどんな奴らだよ?と思ってたんだけど、ガラガラ。200席にたった7人。まぁ、公開からだいぶ経つ本作だから、ということもあると思うけど。
で、帰りのエレベーター(本日最大のリスク空間)。同じスクリーンを観た大学生風の3人組と同乗。男女のカップル+女。女が、カップルを連れて来たカンジ。
女は「今回で5回目」と。
しかしぼくも、かなりの期待を持って観に来た。
事前の評判からして、もしかしたら心のベスト10第一位が30年ぶりに交代するんじゃないのか。そんな作品はなんとしても劇場で観ておかなくては、と。
正直、そこまでじゃない。5回は観ない。
テンポがいまひとつなのかな、と思う。
もう30分削る勢いで作ってくれたら良かったのではないかと。
怒濤の展開でついて行くのがキツイ、となれば、5回観たかも。
と、ここまで言っておきながら、良い作品ではあると思う。
格差社会の階層を、半地下(ないしは地下)と表現する見事さ。
主人公たちがどれだけうまく立ち回っても、どうしてもぬぐうことのできない「貧乏臭さ」を、そんなふうに表現するのか、というのも感服せざるを得なかった。
上流階級の連中は、そこにさしたる悪意もなく、そして本人が聞いていることを知らずに(聞いているはずのない場所で)、その「貧乏臭さ」を指摘する。主人公たちは、それをうっかり聞いてしまい、傷つく。
現代社会において、差別が露骨な表現となって現れることは稀だ。
数日前までのヨーロッパなどでの「コロナは国に帰れ」みたいなのは、やはりパニック状態だから現れるのだと思うし、例えば現在の日本で「○○人は」とか「女は」とか表だって言ってしまう奴というのは、よっぽどの馬鹿だろう。
露骨な差別は、ほとんど見かけない。
じゃあ差別がなくなったのかと言えば、もちろんそんなことはない。
エラそうなことを書き連ねるぼくも、きっと、差別意識に凝り固まっている部分があるに違いない。無自覚なだけで。
そんな現代の差別をうまく描いていると思うし、言われるように、格差社会をえぐった作品だとも思う。
前半はかなり笑えるし、後半のストーリー展開も良い。オチも秀逸。
見終わったあとに、社会問題を議論するべき映画。インテリぽい諸君にオススメだ。
2020年3月27日 追記
最近、他人のレビューを読むことがある。いままではあまり読まなかったんだけど。
良いレビューを読むと、もっと語りたくなる。
でも、良すぎるレビューは、こっちから言うことなくなっちゃって、困るんだよな。
「地獄でなぜ悪い」(2013)
園子温の新作が出る度に、「これは観なければ」と思いつつ、結局は観ずに終わってしまう。
いままでに観たのは「冷たい熱帯魚」だけ。
宮台真司は、アートと娯楽を対比させ
「娯楽は癒やし。アートとは、元に戻れなくなるほどの、心に深い傷をつけること」
と言う。
そういう意味で、園子温はまさしく(少なくともぼくにとっては)アート。
「冷たい熱帯魚」で十分傷ついた。
またあれだけ傷つくのか、と思うと、どうしてもハードルが高い。
と言ったら、シュウちゃんが、
「そういうことなら「地獄でなぜ悪い」をオススメする」
と。
予告を見ると、めっちゃおもしろそう。
「娯楽に徹した内容」に期待度MAX。
正直、期待外れ。
ムダに豪華キャストで、つまらないとまでは言わないけれど、少なくとも前半はいらない。星野源もいらない。
山本亨を久しぶりに見た。彼が出るなら、つか演劇のオマージュでも良かったのでは?ビミョーにそんな雰囲気もあったけど。
園子温、次回作を観るべきかどうか、悩む。
「アメリ」(2003)
ぼくはすごく好きなんだけど、レビューサイト見ると評価が分かれていて、ちょっと驚いた。
低評価のレビューをいくつか読んでみる。
「合わない」「苦手」という、論評と言うより拒絶反応が多い。
興味深かった論評に
「フランス映画の性に対する下品さ」
てのがあった。
なるほど。
MeeToo運動が盛り上がった際、フランスから「ちょっと待てよ」と意見表明があった。プロテスタンティズム的な潔癖さは息が詰まるゼ、みたいな(いや「女性の自立」云々な、ちゃんとした意見でしたが)。
そういう意味では、「フランス映画」が性に対して下品なのではなく、「フランス」が性に対して下品なんだろう。
でもぼくは、「性に対する下品さ」って、肯定的に捉えたいけどなあ。
「ジュラシック・ワールド/炎の王国」(2018)
このシリーズは、どれを観てどれを観ていないのか、今となっては定かじゃない。確か前作は子ども連れて映画館で観て、イマイチだなと思った記憶が。
本作は、わりとおもしろかった方だと思う。
ラストの、まるでちゃぶ台返しのようなオチも、嫌いじゃない。
「バトルシップ」(2012)
エイリアンが攻めてきて、戦艦で倒す、というハナシ。
楽しめます。
「ハッピー・デス・デイ」(2017)
「ハッピー・デス・デイ 2U」(2019)
大絶賛ツイートが流れてきたので観てみたら、ホントに素晴らしかった。
そのレビューツイートが見事で、ぼくが言うべきことないんだよな。
2作続けて、是非どうぞ。
Twitterアカウントお持ちの方は、【こちら】 からその素晴らしいレビューが読めます。
「ヒトラー ~最期の12日間~」(2004)
おなじみ「総統閣下」シリーズの元ネタ。
評価は高いみたいだけど、おもしろくない。
登場人物が多く、色々な人物に少しずつスポットが当たるので、散漫。結局、誰に対しても感情移入ができない。
ストーリーも、ヒトラーの最期に向かって盛り上がって欲しいんだけど、淡々と進んでいく。
ドイツ人には意味のある映画なのかもしれないけど…。
「ヒムラー ~最期の12日間~」とかはどうかな?
「ウルトラヴァイオレット」(2006)
なんだかプレステのゲームっぽい映像で、その点は新鮮。
ミラ・ジョヴォヴィッチが好きなら、かろうじて、見ていられる。
ハナシ自体は、ひねりもなく退屈。
2020年4月2日 追記
古い映画と新しい映画。
もちろん、不朽の名作ってのもあるんだけど、基本的には、新しい映画の方が良くできている。当たり前といえば当たり前で、新作とは旧作をふまえて作られるわけだから。
そうは言っても、古い映画だからこその楽しみもある。
例えば、俳優の成長を知ること。
ジョディ・フォスターはイェール大を出た才女として知られるが、まだ年端もいかない子ども時代は娼婦だった、とか、ジャック・バウアーの若かりし頃は、「エース」と呼ばれる手のつけられない不良で、長じてああなる片鱗はすでにあったんだなぁ、とか。
「タクシードライバー」(1976)
古い映画。いま改めてこの映画を観る価値は、いかほどだろうか。
若きロバート・デ・ニーロがリオネル・メッシに似ていることを発見して、驚くかもしれない。
内容はどうだろう。ぼくは、この内容はマズいと思う。おもしろいとかおもしろくないとかではなく、マズいだろうと思う。
主人公(デ・ニーロ)は、若さ故に暴走する。
一目惚れした女性に、周囲の目も気にせず猛アタック。
デートにこぎ着ける。
次のデートで映画に誘う。
誘った映画がロクでもない内容で、振られる。
いじけて世をはかなむ。
(彼女が事務所スタッフをしていた)大統領候補殺害計画を立てる。
殺害計画は、未遂にも至らない段階でつまずき失敗。
その足で娼館に赴き、ポン引きなど娼館の関係者3名を銃撃戦の末、殺害。
ここまでなら、かまわない。
問題は、(先日知り合った)まだ子どもの娼婦(ジョディ・フォスター)を救い出したことを理由に、この主人公がヒーローとなってしまったところ。
「新聞見たわ」
とか言って、彼女まで戻ってきてしまう始末。
これは、マズい。
いじけて世をはかなみ殺人に至るなんて、加藤智大による「秋葉原通り魔事件」や、植松聖による「相模原事件」と、構造的にはまったく同じじゃないか。
1976年のアメリカ映画と同じ構造の犯罪が現代の日本で起きるということは、時代も国境も越え、若者の普遍的な感情を描いた作品とは言えると思う。
しかし、若気の至りは、どんな場合も否定されなければならない。
そこさえ否定されるなら、どのような内容であれ、それを青春と呼び、受け入れる。
だから、この作品は、否定されるべきだろうと思う。
深読みするなら、大統領候補殺害を企てたことをもって、そんな主人公をヒーローに仕立て上げてしまう社会へのアンチテーゼ、と言えなくもない。
でも、だとしたら、いくら何でもな説明不足。
「アトミック・ブロンド」(2017)
オシャレなスパイ映画。
クールな映像がその当時のヒット曲で彩られる。イケてるアクションでテンポも良い。結果、なかなか楽しめる。
ただ、それぞれの人物(陣営)の思惑の描写が物足りなく、感情移入しづらい。
また、ベルリンの壁崩壊という歴史的事件が、いまひとつ生かし切れていないのが残念だった。
「ソルト」(2010)
アンジェリーナ・ジョリー主演のスパイ映画。
楽しめます。
「スタンド・バイ・ミー」(1986)
小学校5年か6年。アメリカは州によって違うらしいが、「来年から中学」という会話がある。
ぼくももう、筋金入りのオッサンだ。この年になると、自身の小学生時代のエピソードを憶えてはいても、それは単に、事実としてそういうことがあったという記憶であって、その時の感情までよみがえることはない。そう、忘れてしまった。
というワケで、残念ながら、あまり共感出来ない。
でも、この作者(それは原作者ととっても良いし、作中に登場する狂言回しの小説家ととっても良いが)も、実際はそうなんじゃないかな。忘れてるよね?
なんか、ビミョーに説教臭く感じてしまいました。
「ベスト・キッド」(2010)
例によって、「もうすぐ見放題終了」リストに載っている作品を優先的に観ている。
で、「ベスト・キッド」。
大昔に一度観たことがある。でも、師匠が箸でハエを捕まえるシーンしかおぼえてないんだよな。
見始める。こんなに新しい映画だったか?リマスター??と思っていたら、いきなり北京オリンピックスタジアムが出てきて、なんだ別の作品か、と。じゃああの作品のタイトルは何だったっけ?と見終えたあと調べてみたら、同タイトル。
これ、リメイクだったのか。
師匠はハエ叩きで殺したハエを、箸でつまんだ。
すごくおもしろい。
唯一の難点は長すぎる(2時間20分)ことくらい。
主人公の少年はどんどん強くなっていくけれど、人間的な成長はほぼない。でも、そこもむしろリアルで良いよな、ってカンジ。
と思ったら、その少年、ウィル・スミスの息子なんだって。落ち着きのない子だよ。
2020年4月5日 追記
日本での公開割合は知らないけれど、映画といえば、ハリウッドか邦画を思い浮かべるのが、一般的な日本人だろう。
劇場であれレンタルであれ、これまでは自分の好きそうな映画しか観てこなかった。それは、ハリウッド映画か邦画。ところが、配信で片っ端から見始めると、他の国の映画も含まれてくる。
そういう視聴スタイルから、知ることもある。
フランス映画は下品だと毛嫌いする人が少なくないことを知る。そして、ぼくはそのテの下品さが好きなんだということも。一方で、イギリスのジョークがまったく理解出来ない。すべてのジョークが笑えないわけではないけれど、ほとんどのジョークに戸惑ってしまう。有り体に言うなら、イギリス人ってバカなんじゃないかと思っている。
「ノー・エスケープ 自由への国境」(2015)
メキシコからアメリカへ密入国する十数人の男女が、砂漠で、サイコなアメリカ人から、スナイパーライフルとドーベルマンで襲われる。サバイバルスリラー。
これって、どれくらいあり得るハナシなんだろう?密入国者が殺害されても、公式にカウントされないケースは多々あるような気もする。とすると、実際に結構あり得るんだろうか?あり得るんだとすると、かなり恐ろしい作品だ。
「ハンコック」(2008)
不死身なので、ピンチにはならない。
やりたい放題、破壊の限りを尽くしてくれるのかと思ったら、妙にセーブ。
じゃあヒューマンドラマ系なのかと思ったら、そのテのハナシも薄い。
男2女1の三角関係も盛り上がらず。
ラストはとってつけたような弱くなる設定発動でピンチを迎えるも、まぁ、どうということなく切り抜ける。
つまらない。
「バッド・ウェイヴ」(2017)
アクションコメディという位置づけなんだろうけど、ふざけてるだけでおもしろくない。
「女は二度決断する」(2017)
ラジオで宮台真司が解説していたのを聴いて、是非観てみたいとAmazon prime videoで真っ先に検索。有料。どうしようかなとウォッチリストに入れておいたら、いつの間にやら無料に。というわけで、早速。
作品としてのポイントは、タイトルにもなっている「二度」という部分。なぜ一度でなく二度決断するのか。
また、一度目と二度目の間にある象徴的な出来事があるが、それをどう解釈するのか。
宮台の解説を聴くと、なるほど確かに、と思うのだけれど、正直、ぼくにそこまで思い至ることはできなかった。
というわけで、見事な解説でした。興味のある方は、YouTubeに音声がアップされているので「女は二度決断する 宮台真司」で検索を。文字ベースの(真鍋厚さんとの)対談もググれば出てきます。そちらの方がわかりやすいかもしれません。
「スパイダーマン」(2002)
「スパイダーマン2」(2004)
「スパイダーマン3」(2007)
「アメイジング・スパイダーマン」(2012)
「アメイジング・スパイダーマン2」(2014)
続けて鑑賞。
「スパイダーマン」(2002)は傑作。「MARVEL(笑)」とかバカにしてて悪かった。映像の古さは若干気になるけれど、でも、これを楽しめない人は、娯楽映画はほぼ楽しめないんじゃないか、というくらいおもしろい。
その他の4本は、フツー。MARVEL(笑)。
「アバウト・タイム ~愛おしい時間について~」(2013)
素晴らしい映画だった。
ふと思い出したのが「100日後に死ぬワニ」。あのマンガ、1話ずつはまったくおもしろくない。ところが、「100日後に死ぬ」という設定、そして「死まであと○日」と書かれると、途端にどの話も輝いて見える。見事な思いつきだった。
Jリーグ。次の試合は年間に34試合行われる中の1試合でしかない。ところが、そこに「勝てば優勝」という条件がくっついたりすると、途端に意味が変わってくる。いやまあ、「負ければ降格」しか知らないけど。
この映画では、主人公にタイムトラベルの能力を持たせることで、どうと言うことのない日常を価値あるものと感じさせることに成功している。ハナシ自体は、若者が都会に出て、彼女見付けて、結婚して、子供ができて、という、どうと言うことのないハナシだ。
タイムリープものは、タイムトラベルという「超能力」を如何に「なんでもあり」としないかがキモ。本作では、過去は簡単に変えられる。しかし同時に、変わってしまうことも。変わってしまうことを許容出来ない(認識の連続性が失われてしまう)事柄もあって、そうなると、もうあの頃には戻ることができない、という設定も見事だった。
ところで、この映画。Amazon prime videoでは「もうすぐ見放題終了」リストに載っている。今夜、この映画を観るべき理由だ。
ぼくは今夜、今度は奥さん誘って、もう一度観るつもり。二度観る理由、それは、観ればわかるよ。
2020年4月8日 追記
レビューを読む。読むのは、自分が素晴らしいと思った作品のレビュー。
最低評価をつける人も少なくない。
以前、友人にイチオシのラーメン屋を紹介した。早速その店を訪れた友人は「吐き気がした」と。
もちろん、どちらの感想が正しいというわけではない。感想とは常に「※個人の感想です」なのだ。
それにしても、と思う。
Hey, Hey ワカラナイ any more 君のこと
イミシンな言葉で カクシンにせまらないで
DIS COMMUNICATION
「ノックアウト」(2017)
????
どこかの映画専門学校。ある年度の卒業制作で金賞を受賞した作品、と言われれば納得する。
「ランナウェイ・ブルース」(2012)
オシャレな映画。
悪くない。でも残念でもあった。
仲の良い兄弟は、テンションが低め。
これが、テンション高めで、いつもふざけている。でもそれは強がり。強くもないのに強がっちゃってさ。ということだったら、その他がまったく同じ内容でも、ぼくは号泣していたと思う。
単なる好みの問題なんだけど。
「マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー」(2018)
なんだろう。これと言って悪いところがあるわけじゃないんだけど、なんとなく気持ちが乗らないというか、ついて行けない感。
ミュージカルには点数甘めなハズだったんだけど…。
で、知らなかったんだけど、これ、続編なんだね。前作観ていないと、例えばメリル・ストリープが出てきても、それだけじゃなんとも思わないからなぁ。彼女が前作の主役だったと知って、「あー」と。
「マンマ・ミーア!」(2008)
こっちは断然イイ!
続編との違いはなんなんだろう?おもしろさというのは、本当に難しいものだと思う。
すごく良い作品だけど、唯一残念なのは、配役。メリル・ストリープとジェームズ・ボンド。どちらも嫌いじゃない。でも、この作品には合わない気がする。
「オブリビオン」(2013)
ラストは「それでいいのか?」と思わなくもないけれど、全体としては楽しめた。
トム・クルーズの出演作は、なんだかんだで楽しめる作品が多い気がする。あんまり難しいことを考えさせずに、素直にストーリーを追いかけることができるからかな。
「カジノ」(1995)
3時間の大作だけど、まったく退屈しない。おもしろい。
のし上がって、落ちていく。
誰だって落ちたくはないんだけれど、ちょっとしたボタンの掛け違いで、結局ズルズルと落ちていく。皆が幸せを目指したはずなのに、最後は誰も幸せにならない。
でもそういうものだよね、と思わせる傑作。
「エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE」(2010)
ブラジル映画。ブラジル映画なんて初めて観た。
そして、度肝を抜かれる。めちゃくちゃおもしろい。
警察の腐敗、政治家の陰謀、それに立ち向かう主人公。というハナシは、世界にいくらでもあるだろう。その中でもダントツにおもしろいんじゃないだろうか。
ブラジルが舞台、ということが効いている気がする。警官が市民を撃ち殺しても、リアリティが失われない。それはブラジルに対する理解なのか偏見なのか。
とにかくテンポが良い。クライムサスペンスが好きなら、超絶にオススメ。
ただ、ぼくも観てから知ったんだけど、本作は続編。わかりやすく「2」って書いといてくれよ。
なんとAmazon prime videoに、前作はないようだ。無念。
「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」(2013)
MVとして、十分に楽しめる。
ただ、ドラマ部分はちょっと残念。
パガニーニが実際にどんな人物だったのかは知らないけれど、この映画が史実に基づくのだとすると、彼の生涯そのものには(映画にするほどの)価値があったとは思えない。価値があるのは、彼の才能だ。
不遇の大天才が、敏腕プロデューサーとの出会いによって、成功を掴むというシンプルなサクセスストーリーなら、素直に感動できたんじゃないかなぁ。
「ねらわれた学園」(1981)
大林宣彦監督がお亡くなりになったということで、鑑賞。
40年後の未来を生きる我々からすると、映画と言うよりも資料映像。
そして、終盤にさしかかるあたりから、笑いが止まらない。
ねえ、ふざけてるよね?ふざけて撮ったんだよね?
よくこんなのを撮ったと思うし、そして、よく公開したと思う。
映画ファンを自認する者は、すべからく観るべき作品。
映画鑑賞は娯楽だという諸君は、他の観なよ。
2020年4月11日 追記
ほぼ完璧なリモートワーク(=奥さんに土下座する自営業者)を達成している。
ほぼ一歩も家を出ず、模範的なSTAY HOME。
ほぼ映画を観て過ごしている。
保母さんが好きです。
すまない。自分でも何を言っているのかよく分からない。
薬局の売り上げが急落している。正確には、来月の売上が恐ろしい(薬局の売り上げは、主として次月以降に反映される)、のだけど。
それをどこで知ったのか、今日、ヤミ金(実際には単なる商工ローンですけど)から「運転資金のご融資、如何でしょうか?」と電話があった。
如何でしょうか、じゃねーよ。ブチ切れでガチャ切り。
映画でも観よ。
「ある殺し屋 KILLER FRANK」(2015)
驚きの映画。
クライム映画というジャンルで良いと思うけど、アクションもなければサスペンスでもない。謎解きもないし、当然コメディではない。
主人公は冴えない初老の(年齢に関する描写はなかったと思うが、そう見える)男。映画の「冴えない」は実際は…、というケースが大半だと思うが、ホントに冴えない。結果的に彼は無敵の殺し屋なのだが、(射撃の名手だとか、相手の弾が当たらないとか、カンフーの達人だとか、そういった)特殊能力があるわけではない。単に、判断に迷いがないから(それを特殊能力と呼べば確かに特殊能力ではあるが)無敵の殺し屋なのだ。
ヒロインの女性も冴えない。ハリウッドの標準的な基準(若くてスタイルが良くて美人)に照らせば、映画史上最も魅力的でないヒロインと言えるかもしれない。
この映画は、いったい何を見せようとしているのか。
主人公の感情の動きを追いかける映画なんだと思う。
主人公とはあまりにも生い立ちが違う故、共感できるとは言いにくいけれど、でもわかる。主人公の考え、行動は、十分に納得出来る。
感情の動きを感動と呼ぶのなら、視聴者の感情も、主人公とともに動かす本作は、そういう意味での感動作。
一般に言われる「感動作」ではない。
泣けるわけでも笑えるわけでも、スカッとするわけでもない。
映画館でチケットを買ったとか、レンタルショップでDVDをレンタルしてきた人が、ガッカリするのもわかる。でも、配信で見放題な時代。そんな時代に作られるべき映画だと思う。
多くの人に観てもらいたい。
「マスター・アンド・コマンダー」(2003)
200年前、ナポレオンの時代。フランスの艦船と戦うイギリス艦船の物語。艦長はラッセル・クロウ。
楽しめます。
「ブルークラッシュ」(2002)
映画としてはフツー。
サーフィンって、さほど危険なスポーツじゃないと勝手に思っていたんだけど、「このスポットでは過去に何人もが命を落としている」みたいな台詞があって、ちょっとビビった。結構危険なのね。
「ブルース・ブラザース」(1980)
40年前の映画で、まさかこんなに笑えるとは思わなかった。
過剰さゆえのおかしさというのは、時代は関係ないのだろう。
現在の感覚からすると、ややスピード感が物足りない箇所もなくはないけれど、でもおもしろい映画ですよ。これは。
「キック・オーバー」(2012)
テンポが良いので、まったく退屈しない。
登場人物が多すぎるかな、と思わなくもない。刑務所から出て、イーストウッド云々(ああいうのって、本人の了承得てるんですかね?w)の一連のシーンはなくても良かったと思う。まぁ、そのシーンもおもしろかったんだけど。
主役のメル・ギブソンが活躍しっぱなし。フラストレーションが溜まるシーンはほぼない。
スカッとする映画を観たいときに、是非。
「裁き」(2014)
映像が美しい。インドの都市(ムンバイ)の様々な場所が、脚色されるでもなく固定カメラで映し出される。
画面上で交わされる言葉は、台詞然としたものではなく、ごく自然と思える会話。オーバーな演技もない。
まるでインド旅行。しかも、通常の旅行では行けない場所を巡る。インドのリアルを垣間見る。
はたして、これは映画なのだろうか?
もちろん、映画の定義は人それぞれあってしかるべきだ。しかし、少なくともぼくは、映画とはなにがしかの物語性があって初めて映画たり得ると思っている。
本作では、不条理な(と多くの者には思えるだろう)裁判の模様を映している。その裁判を切り口に、インドのリアルを映し出す。
しかし、その裁判も(判決が出るなどの)着地に至るわけではない。また、関係あるとは思えない、当該裁判の前後の法廷の様子も長々と映し出される。
カメラは弁護士、あるいは検事について行くが、行き先は必ずしも裁判に関係のある場所ではない。彼らの人柄(と彼らを取り巻くインド社会)を描写する意図ではあろうが。
と言うように、物語として観ていると、混乱してしまう。
映画としての評価は低いと、ぼくは思う。
ルポルタージュとかドキュメンタリーとしての評価は、また別だろうが。
「グリーン・ホーネット」(2011)
バカバカしいけど、おもし……もうひと声だなぁ。
2020年4月14日 追記
コロナ騒動の仕事への影響で、少々ペースダウンしたけれど、引き続き映画。
暇な時間は、ひたすら映画。
カメラ持って散歩に出かけることなんかは自粛の対象じゃないと思うんだけど、なんとなくそんな気にならない。カメラには、1ヶ月前に撮った写真がまだ取り込まれずに残っている。
引き続きひたすら、映画。
「フェアリー・オブ・キングダム」(2016)
いろいろと酷い(笑)。
笑っちゃうくらい、酷い。
それでも、やれることは全部やりました、という心意気は買いたい。
でもやっぱり、酷い。
「ゲート・トゥ・ヘヴン」(2003)
良いハナシだけど、洗練されていない。
洗練されていないので、いまひとつグッとこない。
でも良いハナシなんだよなー、という具合に、惜しい作品だった。
「WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~」(2014)
主人公がお世話になる親方の家の姉妹がユウコとナオキ。
我が家の姉弟がユウコとナオキなので「おお!」ってなった。
大学受験に失敗したチャラついた男が、一年間の林業体験、というハナシ。楽しめます。
「DESTINY 鎌倉ものがたり」(2017)
主人公の作家を堺雅人。その奥さんを高畑充希。
奥さんの名前がアキコ。ウチの奥さんも、アキコ。こういうのって、ちょっとおもしろい。
自分の奥さんがアキコでなくても、楽しめると思います。
「時をかける少女」(1983)
小学生の頃、初めて好きになったアイドルが原田知世だった。この映画を観たとかではなく、隣の席の誰かが、雑誌の切り抜きを持っていた。
いま見ると、当時の原田知世(16歳。撮影時は15?)は幼すぎる。この映画を撮った監督の大林宣彦と製作の角川春樹(ともに当時40代)は、(現在の感覚からすると)変態だと思う。Wikipediaに残されているコメント(「結婚したい」など)を見ても、やっぱり変態だ。
それはディスっているわけではなく、褒め言葉として言っているわけでもない。時代が変わった、ということを言いたい。現在の感覚でのロリコンが、当時のノーマルだった(実際にノーマルだったかどうかは知らないが、映画として公開されている以上、少なくとも秘匿すべき劣情とは思われていなかった)のだろう、ということ。
映画を観るということは、それはすなわち「時をかける」ということでもある。そんなことを思い出させる作品。うむ。うまいコト言ったぞ、オレ。
「彷徨える河」(2015)
あまり評価出来ない。
人類学的なアプローチの雰囲気を漂わせてはいるが、それはあくまでも雰囲気だけ。退屈。
学問としての人類学においても、生活のすべてを記録出来ない以上、そこには観察者のバイアスが排除出来ない。しかし逆に言えば、であるからこそ、観察者の視点の優劣が生まれる。単に観察レポートさえ提出すれば、自動的に優れたレポートだと見なされるわけではない。
ましてや、本作は映画である。事実、ないしは事実の再現である必要はない。映画的なおもしろさ(おもしろさの種類は問わない)が表現されていなければならない。本作はいかなる種類のおもしろさが表現されているのだろう。ぼくには、おもしろいと思えなかった。
人類学的な雰囲気を意識高い系(笑)の諸君が好むのであろう、というのは言いすぎだろうか。
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」(2007)
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」(2009)
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」(2012)
完結編である「:||」が公開延期に。かわりに「序」「破」「Q」がYoutubeで無料公開。というわけで、続けて視聴。
ぼくはエヴァが好きで、テレビ版を(たぶん)2度観ている。1度目はまだレンタルがVHSの時代。2度目は、DVDになってたかな。こちらもレンタルで。以上のエヴァ体験は、すなわち「好き」とは言ってもエヴァヲタではない、ということを言っている。
ともあれ、「劇場版」のラスト、全人類がぐちゃぐちゃに混ざり合うというアイディアは、感動的だった。少なくともぼくにとって、ポストヒューマンという概念の原体験だった。
さて、この度観た「新劇場版」。世間の評価では、「序」はまあまあ、「破」は傑作、「Q」でエヴァヲタ怒りで発狂、というカンジになっている。
ぼくは三作ともに楽しめた。
「序」はテレビ版の前半部のダイジェスト。特筆すべきことはない。素直におもしろい。
「破」はテレビ版を踏襲しつつ、新キャラ登場などで味付けを少し変えて、ヲタク絶賛。
「Q」は「破」のラストから、唐突に14年経過した世界。それまでの設定のほとんどが捨て去られ、ヲタクたちはハシゴを外された。ざまぁwwww
で、怒りで発狂。「ワケわかんねーよ」と。
というところで、ぼくはヲタクの諸君に問いたい。それまではワケわかってたのか?と。
旧(テレビ版から劇場版)にしろ新(新劇場版)にしろ、エヴァはユダヤ教とキリスト教の違いを背景とし、それっぽく思わせぶりな設定がちりばめられている。
でも、背景や設定は装飾でしかなく本筋ではない。本筋は、シンジという少年の物語。シンプルなハナシだ。
旧と新では、シンジが少し違って見える。
旧では一貫してオロオロしており、物語の最後に来てやっと、一歩を踏み出す。
それに対して新では、自信がなくウジウジしており、たまに拗ねたり暴走したり、というのは変わらないが、比較的簡単に一歩を踏み出す。決断をする。
ただ、その決断は、正確な理解に基づく決断ではない。たまたまその時に提示された選択肢のひとつに、何も考えずに飛びつく。あるときはミサトの命令に、あるときは命令に背くというカタチで、またあるときはカヲルの解釈に。状況の変化にカヲルが迷い始めても、「この道しかない」とばかりに突き進む。
突き進んだ結果は、当然のように、求めていた結果ではなく、ふてくされる。
シンジの呼び名をアスカが「バカシンジ」から「ガキシンジ」に変えたのが象徴的。まさにガキそのもの。
実に現代的な人物像だ、と思ったら、もう8年も前の作品なのか。
この間、日本人の代表的な人物像は変わっていないのだろう。
アスカの姓が旧では惣流だったのが、式波に変わった。いっそ、シンジも改名すれば良かったのではないかと思う。シンゾウと。
セカンドインパクト真っ只中を生きなければいけない我々が、いままさに観るべき映画。
全力でオススメしたい。
2020年4月22日 追記
今年に入って観た映画が100本となった。
3月4月で90本。4月中に100本のつもりだったんだけど、仕事がゴタゴタして、その流れで急にその気になって例の作文書いてて、結局100本到達は5月中旬。つくづく、複数の事柄に同時には取りかかれない脳みそだなと、ちょっと残念な気持ちになる。でもまあ、ちょうど緊急事態宣言も解除されるとかってことなので、むしろ良いタイミングなのかも。
福澤先生が「閾値を超える」というハナシをしていた。
閾値を超えるまではほとんど変化がないが、閾値を超えた瞬間に別のステージに到達する、みたいな主旨だったと理解している。
福澤先生といっても、義塾じゃなくて英語塾の方(←同級生)だけど。
ともあれ「100」という数字に意味があるとは思わないけど、2ヶ月で100本はなかなかのハイペース。これだけのハイペースで観続けたら、何らかの気づきがあるのではないか、という期待があった。
正直、よく分からない。閾値は、まだ超えていないのかもしれない。
ただ、ちょっとした変化はあって、明らかに以前よりも映画が楽しめている。以前だったら「なんだこのくだらない映画は」とプンスカしたであろう映画でも、結構楽しめてしまうのだ。
推測なんだけど、これは、映画を観ることのハードルが下がったからではないだろうか。
田舎暮らしだと、最寄りの映画館は隣街の、空調で台詞が聞き取れないくらいオンボロ。マトモな映画館へは高速で30分。シネコンなら1時間かかる。
いきおい、レンタルビデオで、ということになるんだけど、これはこれで結構面倒なんだよね。
時間にしろお金にしろ、コストをかけちゃうと、失敗したくない、駄作は許せないって思ってハードルが上がる。
その点、サブスクリプションなネット配信だと、気楽に観られちゃうからね。
その副作用というべきか、採点は甘々だ。
某レビューサイトに記録してるんだけど、5段階で5を連発。たぶん平均で4以上。3も2も少なめで1は2作品。
振り返ってみると、アレとコレが同じ評価かよ、みたいなことを思わなくはないんだけど、ともあれ、区切りの100本だ。
「カメラを止めるな!リモート大作戦!」(2020)
もうちょっと「カメ止め」の引用があれば、「ああ、あれな!」みたいに楽しめたと思うんだけど、意外にそんなシーンは少なく。ちょっと残念。
剛也が絶賛してたので、「そんなでもないじゃん?」と言ったら「映画や舞台関係者には余計に来るものがある」とのこと。なるほど。
奥さんは「台詞にはなってなかったけど、ラストは「家族に会いたい」という「カメ止め」からの家族愛的な流れもあって、良かったんじゃない?」とのこと。なるほど。
なんとなく、自分の想像力、共感力のなさを指摘されたようで、ちょっとバツが悪くなった。
「羊と鋼の森」(2017)
バランスが悪い。
台詞がちょいちょい違和感で引っ掛かる。明らかにおかしい台詞があるわけじゃないけど、「ん?」と思う台詞が所々に。
役者も、その役者の良し悪しはともかく、この映画に合ってるか?と思ってしまう人が何人か。
極めつけはエンドロールの久石譲。そこまでクラシック曲を流し続けた挙げ句の久石譲。曲が悪いと言っているんじゃない。合っていないと言っている。
素直に辻井伸行のショパン(に限らないけどクラシック曲)で良かったじゃないか。どうしても久石譲だというなら、劇中曲も久石譲に作曲させるべき。
調律師のハナシだけど、映画自体の調律がまるっきり不完全だったと思う。
つまらないとは言わないが、なんとも残念な作品だった。
「母なる証明」(2009)
「パラサイト」の監督の作品だったよね、と本作を選ぶ。ポン・ジュノ監督。
個人的な好みとしては「パラサイト」の方が(前半はかなり笑えるので)好きだけれど、本作の方が映画としては優れているように思う。終始、緊張感があって目が離せない。
サスペンスだとか犯人捜しだとか伏線がとか、はたまた「母性」がとかなんとか。いずれの指摘もその通りだとは思うけれど、根本的には貧困を描いているように感じた。
全編を通して、いやーなカンジが瀰漫している。そのカンジはすべて貧困から来ている。
その点が「パラサイト」と異なる。「パラサイト」の貧乏一家の面々は、根が明るい。その明るさが、ある意味、貧困を他人事として見せる。
本作では、貧困層のどちらを向いても、無邪気な明るさのようなものは見出せない。
本作を観ても、カタルシスは得られない。アタマを抱えつつ、議論を始めなければならないタイプの映画。
「LUCK-KEY/ラッキー」(2016)
めちゃくちゃおもしろい。
唯一言うとすれば、ヒロインの女優がもう少し不美人だったら味が出たんじゃないか、とは思うんだけど、そんなのはほとんど言い掛かりに近い。
これ観て寝れば、楽しい気分で眠りに落ちることができるだろう、完璧な娯楽作品。
「鍵泥棒のメソッド」(2012)
韓国映画「LUCK-KEY」、どこかで聞いたことあるような設定だな、と思ったら、日本映画である本作のリメイクでした。
で、本作、すっかり忘れてたけど、Blu-ray持ってた。
改めて観たけれど、これはこれでおもしろいです。ただ、比較しちゃうと韓国版リメイクの方が圧倒的におもしろい。
「ウォーム・ボディーズ」(2013)
ゾンビとの恋愛という予想の斜め上の設定。でも考えてみれば、「美女と野獣」か。
途中、「ロミオとジュリエット」みたいになって、なんだこりゃ、と思ってるうちに、終盤はもっとなんだこりゃな展開に。ゾンビはいいけどガイコツはダメって…。
でもなんだかんだ、退屈せずに最後まで観てしまう。
やっぱりシュウちゃんの言う通り「ゾンビものにハズレなし」だねぇ、と思っていたら、一緒に観た奥さんは「大ハズレだよ」と。まぁ、そう言いたくなる気持ちも分かる。
いずれにしろ、ゾンビ風味のB級恋愛映画。真夜中の視聴がオススメです。
「ニキータ」(1990)
前半が素晴らしい。その分、後半の失速が惜しい。
実に人間くさい主人公。殺し屋って冷酷無比なスーパーマンと相場が決まっているんだけど、この主人公は殺し屋としてデビュー後も、人間くさいまま。そこが素晴らしい。
そうであるが故、それまで淡々とこなしてきた仕事が、最後にイヤになってしまうという心の機微を、もう少し丁寧に描いて欲しかった。
惜しい、とは言え、素晴らしい作品だとは思う。
「オーケストラ!」(2009)
あらすじに「中年清掃員は、(ソ連の圧政で)解雇された天才指揮者」という主旨の記述がある。コレを読んだぼくの勝手な解釈で、まだ清掃員であるということは未だ圧制下、と思い込んでしまった。つまり、ソ連時代のハナシであると思い込んでしまったのだ。
おかげで序盤はぜんぜん辻褄が合わない。辻褄の合わないことをどう解釈すればいいんだと、アタマを抱えながら観るハメに。
途中で理解したけれど…
おそらく笑えるシーンなんだろうな、と思うことが度々。しかし、何を笑うべきなのか、歴史や文化を知らないと分からなくて、残念な気持ちになる。
ラストは、そういうのを超えた普遍的な物語で、ぼくのような無教養な者でも盛り上がれるのだが。
悔しいので、もう一回観よ。
「ヘアスプレー」(2007)
おデブな主人公が唄って踊るというミュージカルなのだが、物足りない。
この物足りなさはどこから来るのか。それは、渡辺直美から。
渡辺直美のブヨンセを知る者としては、主人公のすべてが物足りなく感じてしまう。
主人公の登場する最初のシーンから
「オレら、もっとスゲーの知ってっから」
と。
インパクトという点で、完全に後塵を拝している。
「外見は気にしない」とか「人種差別は良くない」とか、もちろんそれは正しいのだけれど、それがまるで小学校(低学年)の道徳の授業レベルの無邪気さで主張される。
要するに、テーマと言うほどのものではない。
ゴキゲンな音楽が多く、そのほとんどがフルコーラスで流される。
敵役からの攻撃もえげつないものではなく、観ていて不快になるシーンは皆無。
細かいこと、難しいことは考えちゃいけない。
少しボリューム上げて、ノリノリで観たい映画だ。
「レオン/完全版」(1994)
例の「見放題が終了する」リストに載っている。有名未見の作品は、この際に観ておこう。
先日観た「ニキータ」と同じリュック・ベッソン監督作品。「ニキータ」をブラッシュアップしたカンジなのかな、と。いやいや、断然素晴らしい。
よくもこんな素晴らしい映画を見逃していたものだと、呆れるほど、素晴らしい映画だった。
ただ、この映画のなにが素晴らしいのかを説明するのは難しい。
他人のレビューも読んでみたけれど、いまいちピンとこない。「殺し屋に良い人はいない」と最低評価付けてたレビューには笑ったけれど。
この映画の素晴らしさのキモは、おそらく、監督のリュック・ベッソンも分かってはいない。たとえば、似たような(?)ハナシの「LUCY/ルーシー」は、ツマラナイとは言わないけれど、素晴らしいにはほど遠い。監督自身も「レオン」の何が素晴らしかったのか分かっていないんじゃないかなぁ。
というわけで、奇跡的な傑作、ということでどうだろう。
「完全版」は「22分の未使用シーンを追加収録」とある。見比べたわけではないので、どこがその追加部分なのかは分からない。いや、削った方が良いシーンなんてなかったけど。ダメなシーンがひとつもないという、希有な映画だと思う。
追記
「ロリコンホイホイ」という指摘を見た。リュック・ベッソンは「ロリコン&アクション&イノセンス」がすべて、と。
なるほど。リュック・ベッソンに対する評価は、当たっていると思う。
ただ、本作の魅力がロリコン趣味にあるのかというと、そうだろうか。
マチルダ(ナタリー・ポートマン)の年齢がもう少し上でも、性別が男でも、なんなら人間ですらない犬だったとしても、それはそれで魅力的な作品になったと思うけど。どうかな?
「蒲田行進曲」(1982)
今年に入ってから観た映画が100本。
心のベスト10第一位の入れ替えがあるかな、と30年間不動の一位「蒲田行進曲」を観る。
結局「蒲田行進曲」が1位なんですけど。
て言うか、この映画だけは10回以上観てて、台詞とかも口をついて出てくる。すでに、ぼくの血となり肉となっているわけで、そういう意味で、「蒲田行進曲」を超える作品は、ぼくの人生においては出てこようはずもないのかもしれない。
映画を観る前から、原作者であるつかこうへいが好きだった。
つかこうへいが好きだったので、映画「蒲田行進曲」も、つかこうへいの映画だと思っていた。監督は深作欣二だけれど、それは一応そういう席に座っているに過ぎず、あくまでもつかこうへいの脚本が主体であり、監督なんて誰でも良かった、と。
そもそも深作欣二に思い入れがない。映画「仁義なき戦い」を観たことがないので、「ヤクザ映画撮っただけだろ?」くらいの印象。
深作とは別の、ある監督の映画がめちゃくちゃおもしろくて、その監督がスゴいのかと思って、他の作品を観たらぜんぜんイマイチってことがあった。だから、監督って誰でも良いのか、と。
ところが、そうではなかったらしい。
本「つかこうへい正伝」(長谷川康夫/新潮社)を読了した。
それによれば、「常識はずれの巨大な階段セット」も、オープニングの小夏のモノローグ「偽りの愛さえも本物の愛にすり替えてしまうようなこの世界では、昼を夜にすることなんて、朝飯前の出来事なんです」も、そしてラストのオチも、全部、深作欣二のアイディアだったらしい。
絶句。そのどれがなくても、ぜんぜんイマイチじゃん。
今年観た100本の中に「復活の日」がある。深作欣二監督作品。
深作欣二に土下座したい。
2020年5月14日 追記