PHaT PHOTO CONTEST
まだ幼い我が子の写真を撮ってはいたけれど、それ以上の興味を写真に対して持っていたわけではない。
だから、駒ヶ根市の観光協会から「写真家のテラウチマサトを講師に迎え、写真教室を開くので是非」と誘われたときも、ぼくは断った。
写真に興味はなかったし、そんなカタカナの名前の写真家知らないし、そもそも、ぼくは人にものを教わることが好きじゃない。素直じゃないから。
断ったのだけれど、ちょっと断りにくい人から強く誘われ、仕方なく参加することに。
初回は、ふてくされていたと思う。
月イチの写真教室に通ううち、気が付けば、楽しくなって、テラウチ先生の発行する「PHaT PHOTO」に投稿するまでになっていた。
初めての応募で、2位。これでやめられなくなった。
初めて応募したvol.65(2011年8月20日発売号)以降、毎回、PHaT PHOTO CONTESTに応募していた。
その中から、掲載された全作品を公開。
まぁ、要するに自慢です。
いくつかの目標があって、さしあたっての目標は100pt達成。
投稿すると1pt、掲載されると三名の審査員からの得票に応じて、ポイントが付与される。
100ptに到達すると、3ページにわたり、ぼくの記事が掲載されるのという特典。
ぼくの記事が掲載されたPHaT PHOTOを100冊買って、友人知人に配って自慢しまくるのが、写真家カメダリョウとしての、ささやかな野望だった。
ところが、そのPHaT PHOTO、vol.100(2017年6月20日発売号)を最後に廃刊(Webマガジンとして存続はするそうですが)とのこと。
ショックで言葉もない。
ちなみに、vol.100の時点で、ぼくのポイントは93。
ああ…
(追記)
「廃刊」の連絡がある前に投稿していた作品が、Web版に引き継がれたPPCで入選。過去最高点。これにより、100ptを突破。なんという…
100ポイントギャラリー
100ポイント達成。
ちょっと遅かった。
でもまぁ、こうして記事というカタチになるのは嬉しいこと。
実際の記事は phat-ext を見てもらうこととして、ここでは、掲載された写真や事前に求められた質問書への回答などを載せています。
ちなみに、COLUMNのコーナーのトップ写真。嫌われる勇気の写真。あれも送ったんだけど、採用されませんでした。なんで?
写真をクリックすると、大きなサイズで見られます。
かくたみほ テーマに合った美しい写真ですね。ペットボトルの風車の透明さがすごくきれいに写せています。小さな花が咲いているようにも、星みたいにキラキラしてるようにも見えて、きれいです。田植え前の芽吹いた緑色と手前の黄色い花が季節感があっていいですね。
テラウチマサト きれいな田園風景ですね。まず、手前の前ボケの黄色い花、水を張った田んぼ、そこに映り込んでいるペットボトルの風車、その風車が波打つように流れていて黒く落ちた背景が、風景写真としてとても美しいなと思いました。ペットボトルがあることで、現代の田園風景として撮れていて、ただ美しいだけでなく時代性が撮れています。
河野鉄平 すごく面白い情景をきちんと構図を整えて、うまく切りとっています。ローキーな色のトーンで、そこに白いものが浮き上がり、さらに手前の前ボケが効いて、しっとりとした気持ちの良さが撮れていますね。
vol.101 2位 14pt
大森克己 よく見たら黄色いペンキは登山道の目印ですよね。それもわりと本気の登山の山だと思うんだけど、撮影者はそういうことよりも、ふと見た景色が面白いということに反応しているのが良いなと思いました。登山行ったぜというのを全然アピールしていなくて。普通は、珍しい高山植物とかきれいな自然を撮ろうとするんだけど。
宮原夢画 軽くシャッターを切ったんだろうと思うんだけど、その割には構図のしっかりとした写真が撮れていると思います。人がランダムに動いていて、自然に撮った感じが素敵だなと思いました。
大森 本当は山を下りているところなんですね。
テラウチマサト これ、下りてきている写真なんだ。僕も不思議な写真だなと思ったんだけど、その面白さには気づかなかった。
vol.97 4位 9pt
菅沼比呂志 写っている少女が、地球を守ってくれる少女戦士のように見えたんですね(笑)。虹が出て、この子は何かに呼ばれてこれから地球を救いに行くんじゃないかという力強さを感じました。足の開き方も頼もしく見えます。こんな瞬間ってあるんですね。
高砂淳二 良いところに女の子がいるなと思っていましたが、やはり車を移動させていちばん良い場所で撮ったとのことですね。丘の上にいるから女の子がすごく目立ってて、良い瞬間に出合いましたね。ただ、電線がないともっと良かったでしょう。僕も虹を撮るときに苦労しますが電線などが入ると作品としては難しいと感じてしまって。良いところに出てくれよと思いますね(笑)。
テラウチマサト 確かに。僕も気になってしまいました。でも地面の近くまで出ている虹や、単に虹だけを撮った風景写真と違って人が入っているのがこの写真の面白さですね。
vol.90 7位 4pt
清水哲朗 にぎやかな写真って良いですよね。写っているシルエットがみんな若い子のようで、この方の地元は若い世代に支えられていると感じられるのも含めていい写真だなと。
テラウチマサト すごく上手でフォトジェニックですよね。ただ、最近はカメラの性能が良くなってきているので「私もこんな風に撮った」と言われそう。その点では希少性や珍しさで選ぶことも多くなってきました。そうしたものを撮るのが面白いと思っているんですね。この写真はありがちと思われてしまい損をしています。実際に撮るのはすごく難しいでしょうから。
小林正明 確かに。僕は写真には既成概念を裏切ってほしいと思っているのですが、これは新聞の写真コンテストの読者大賞にありそうですね。でも夜空もきれいで素敵な写真です。技術面でも挑戦的で、にぎにぎしさやバイタリティ、エネルギーが写真から湧き立っていて良いと思います。
清水 このシルエットなども良いタイミングで撮っていて名人芸ですよ。上手すぎたのかもしれませんね。
vol.89 2位 10pt
笠井爾示 技術が進化して風船にカメラをつけて飛ばす動画などもありましたが、すごく感動しますよね。写真ってそういうハイパーなことよりも、身近で地味なものっていう感じがあると思うけど、この写真は軽自動車や子どもの表情も良いし、こんなことできるからやってみたっていうのがほのぼのする感じで、じつはとても"いまっぽくて写真的"で好きです。
稲田浩 苦労して撮っただろうなと思います。"見る欲望"を大事に撮っていて、努力賞をあげたい気持ちになりました。
テラウチマサト アイディアが面白いですね。自分が撮ったようで違うような…でも、それをセレクトしてコンテストに出すというのが、写真はそういうところまで来ているんだなということを感じさせますね。
vol.81 5位 9pt
篠原俊之 電車の中で寝ている人というのはモチーフとしてはよく見かけるものですが、この作品は吊革の上から見る親御さんの目線、視点が面白く、ノーファインダー、ハイアングルというアイディアが良かったと思います。寝姿がみんなよく似ているところや、旅疲れの雰囲気なども写真的で絵のバランスとしてもいいと思いました。
若子jet 遊び疲れた様子を上からこっそりと見守る親心、作者の優しさを感じる1枚だと思いました。
テラウチマサト 結構広角側で撮っているため窓の外に見えている雪景色が、子どもの服の色と合っていると思いました。これを街中で撮影するとまた違った雰囲気になっていたと思うんです。そういった全体のバランスとしても、なかなかいい作品ではないでしょうか。
vol.80 4位 4pt
タカザワケンジ クラシックなスタイルの写真だと思いますが、それがうまくいっていると思います。この火も、実際の現場ではもっとすごいんだと思いますし、単純にかっこいい写真ですよね。
平野太呂 お祭の写真なんだなということで、わかりやすくて、それ以上突っ込んで見ることができなかった部分もあります。でも、火が強烈で、それを撮るべきだと感じたんだと思います。タイトルの「CRAZY」はきっと褒め言葉なんでしょうね。
テラウチマサト いざお祭りでこれを撮ろうとすると大変だと思うんです。大勢の人がいて、火の粉が飛び散るなか、ここまで寄って撮るというのはなかなかできない。上手だし、キレイな写真だと思います。こういうポスターがあったらお祭に行ってみたくなりますよね。
vol.79 8位 3pt
―― テーマ作品で、「生命力とは食べることだ」というコメントです。
清水哲朗 こじつけっぽいですね(笑)。でも、両手に綿飴を持っている感じが子どもらしいし、子どもって面白いなっていうのが素直に出ている写真ですね。タイトルが「言霊」とかだったらもっとイメージが広がったかなと思うんだけど。
テラウチマサト カメダさんはいつもユーモアのある写真を送ってくれるんです。彼独特の世界だなと思います。
野村恵子 これはお父さんが撮られているんですよね。私自身は子どもいないんですけど、家族って、撮ろうと思えば何でも撮れると思うんです。愛情も撮れるし、家族ならではの面白いやりとりも撮れるし。しかも日々一緒にいるわけですし。だからこそ逆に、何をどういうふうに撮るのかが難しいなと思いますね。
vol.76 7位 3pt
伊藤之一 トラックを入れないほうが良かった気もするんですけど、ナンバーの黄色が効いていますよね。
大竹昭子 なぜトラックを入れないほうがいいと思われました?
伊藤 この写真でいちばん楽しい部分、葉が舞い上がっているところだけを見たいと思うんですよね。
大竹 この葉っぱが飛んでいる理由がトラックにあるわけで、葉っぱだけを切りとると絵になっちゃうけど、トラックを入れたことで時間と動きが生まれていると思うんですよね。
テラウチマサト 写真家の習性として、答えを見せたくないっていうのがあるんですよ。「どうやって撮ったの?」って聞かれるのが嬉しいのかな(笑)。
大竹 そうだと、写真家は手品師なのかって話になっちゃうでしょ。写真は、私たちが日常感じていることを違うレベルから感じさせるものなのだから、手品をしちゃいけないと思うんですよ。
テラウチ いま大竹さんが言われたことが、これからの撮影のヒントになるかもしれませんね。
vol.68 4位 6pt
蔵真墨 葬儀の準備風景ですが、写真に撮ることが一般的に望まれない「ハレ」でなくて「ケ」の風景に立ち会い、どうしても撮りたくてしょうがない衝動に素直に勇敢に従って撮ったという感じが好きです。たくさん立て札が寄せられていて、その並べ方についておじ様方が頭を悩ませている。決定権のある人、内心は「おれ関係ない」と思っている人…、写っている人たちの人間関係を想像できるのがおもしろいんです。
テラウチマサト 画面のなかにドラマがありますね。それぞれのセリフが聞こえてきそう(笑)。
有元伸也 名前の序列って、こんなに悩むものなんですね。場面を読み解く要素が、ちゃんと収まっていますね。
テラウチ 葬儀のような行事で撮影するのはかなり難しい。条件も限られるなかで、よく撮ったと思います。
蔵 タイトルの付け方からもわかりますが、ユーモアがありますね。どんなシリアスな状況でも、少しの笑いがあれば救いが生まれるものです。しかもそのユーモアが1枚の写真で強く伝わってくる。なかなかできることじゃないですよ。
vol.65 2位 10pt