COLUMN

 


花咲き揃う

今年は桜の開花が早い。当地で、入学式シーズンに桜が咲くことはない。少なくとも記憶にはない。雪が降ったことはあったが。
久しぶりの母校は、娘の入学式の付き添い。花咲き揃う学び舎。
あれから30年か。そう考えると、感慨深い。

ひとつ新しい建物ができていたが、校舎などは、30年前と一緒。壁を塗り直したり、耐震補強したくらいだろうか。
ほとんど変わらないはずの校舎を眺める。でも思いの外、グッとは来ない。グッと来ないことに、ちょっとガッカリする。
そんなことを考えながら、小走りに廊下を走っていると、藪から棒に

「亀田!」

と呼ばれる。
マスクをした長身の男が、こちらを向いている。

「えっ、誰?」
「中林だよ」
「おおっ、久しぶり」

お互いマスクを取って、握手。
ぼくもマスクをして帽子までかぶってたのに、よく分かったな。

「亀田、ぜんぜん変わらないから」
「いや、そんなことないけどなぁ」

中林は、なんだかダンディー。
そのダンディーさを見込まれたのか、保護者代表として挨拶。
型どおりの挨拶。

「なんだ、あのクソつまらない挨拶は」
「くっ…」
「ビデオ撮ったからな」
「えっ、やめてよ。ホントやめて。消去しといて」

などと、終わった後に玄関前で、桐山も含めて三人で談笑。
校舎を見てもあまり感じるところはなかったけれど、古い友人としゃべっていると、昔の記憶がよみがえり、グッと来る。

楽しかった。
もしかしたら、高校時代よりも楽しかったかもしれない。
年をとるって言うのは、そういうことかもしれない。
 
 

2018年4月4日

 
 
 

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