COLUMN

 


東京

東京にいる。
台風が接近しているということで、上下カッパ。登山でも着るカッパ。濡れるのは嫌だから、周到な準備。
周りを見渡すと、誰もカッパなど着ていない。初めて見付けたカッパマンは、ホームレスの風体。

「ちっ、どいつもこいつもカッコつけやがって。台風にあおられてずぶ濡れになってしまえ」

ぼくは目的地に向けて歩き出す。
そして到着。
最初から最後まで、一度も地上に出ていない。
地下街は、一滴の雨も寄せ付けない。
完璧に乾くカッパの表面。
歩き回って汗だく。
グッショリと湿るカッパの内側。

本日は、今年の三月で退官された、大学の恩師を囲んでのお食事会。
お招きいただき、ありがとうございます。

「亀ちゃん、ちょっとこっち来て」
「はい?」
「この女、学生時代からまったく変わらない。面倒くさすぎる。亀ちゃん相手してやって」
「はーい」

まぁ、ほとんどの女性はぼくの守備範囲。ウェルカム!
なのだが…、学年はひとつ上で同い年の彼女。マジで面倒くさい。
なに言っても噛み付いてくる。
そんなんで良くこれまで生きてこられたものだと感心するほど、面倒くさい。
さすがにぼくもイラつきだした頃。出ましたよ。起死回生の一打が。

「私、留学してたから。Pennsylvania。Pennsylvania知ってる?」
「えんぴつベニア?」

ツボだったらしい。爆笑。
これでなんとなく仲良くなって、それ以後は楽しく談笑しました。
芸は身を助ける。

学生時代、一番仲の悪かった男は、昨年死んだ。
その遺児(5歳)が来ていた。

「オマエの親父とは、仲悪かったんだけどな」

と言いつつ、なつかれる。
昔から、子供にはモテる。
肩車してやって、走り回る。ガキ、大興奮。
嫌いなアイツにひとつ貸しができた。返してもらえるのだろうか。

そして、散会。
近くで行われている友人の写真展をチラッと見せてもらう。
ホテルへの帰り道、ピンクの変なオッサンに遭遇。
CRAZY TOKYO.

台風の接近にともない、各店舗、続々と早仕舞い。
別の友人と約束していた飲み会もキャンセルとなる。
夕飯食べて、シャワー浴びて、明日の朝まで、もうすることはない。
退屈な日曜日の夜。

 
 

2017年10月22日

 
 

 
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