COLUMN
シンギュラリティ~努力のない世界
小学校最後の参観日。
いろいろあって出禁だったけれど、最後ということで、こっそりと行ってきました。
直樹のクラスは「一分間スピーチ」と称して、全員が一人ずつ前に行ってスピーチ。
一番うまくまとまっていたのは、「本を読むことが好きです」という女の子。さすが読書家。作家になりたいのだそう。
上手にまとまっている子ばかりではないけれど、「じいちゃんの焼き鳥屋」「父のラーメン店を」みたいな話も、なかなかグッとくるものがありました。
ただまぁ、ずっと聞いていると、ほとんどの子が同じパターンの話。一番多かったのは「クラスメートに感謝」。
ここはFacebookですかっつーね。「いいね!」ってカンジでテキトーに拍手しておきましたけど。
あとで聞けば、「思い浮かばない人は「感謝」「小学校生活を振り返って」「夢・目標」というタイトルで書いたら良いよ」と、担任教師がヒントを出したとのこと。なるほどね。
寄席で落語の演者の名前が書かれた紙、一人ずつめくっていく、あれは何という名前なんだろう。あんなカンジに、発表が終わった子は、次の出番の子のためにタイトルと名前の書かれた紙をめくっていく。
前の出番の子が紙をめくり、直樹のタイトル。
「シンギュラリティ 努力のない世界」
腰を抜かしましたよ。まさかここでその単語に出会うとは思っていないじゃないですか。
「おっ、シンちゃん!こんなところで奇遇ぅ~」
とか、そういうハナシじゃないから。
そして、これは親の欲目なんだろうけれど、直樹が無駄に立派。他の多くの子が下を向きモジモジしながら小さな声で早口にスピーチする中、聴衆を見回しながらの堂々たる演説っぷりなわけ。で、その内容がシンギュラリティ。
でも、シンギュラリティネタは、大人のぼくが同年代の並み居るインテリ連中の前で演説ぶっこいたって、ほとんどはポカンですからね。小学生なんて、ポカーン(゚Д゚)ですよ。
「クラスメートに感謝」
「両親に感謝」
「6年間を振り返ると」
「一番の思い出は」
「プロ野球選手になりたい」
「パティシエになりたい」
「45年後、働かなくてもいい、努力しなくてもいい世界になります」
直樹の直前に「努力して医者になりたい」なんて言った子は、それ全否定されちゃってるじゃん。
もう、顔から火が出るほど恥ずかしくなって、席を立ちました。
いくらなんでもこれは、ということで家に帰って言ってやりましたよ。
「45年後じゃない。2045年だ」
つってね。
2017年2月23日