COLUMN
ラッセル!
調子が良くない。
体調が悪いわけではないし、取り立ててなにか悩ましいできごとがあったわけでもない。
それでも、どうにも調子が良くないのだ。
PPCへ投稿するための写真を探すが、ロクな写真が見付からない。
調子が良いときは
「良い写真ばっかじゃんw」
と思えるのだが、どうしてもそんなふうには思えない。
わりと頻繁に、ぼくは自分の文章を読み返す。
調子が良いときは、おもしろくてたまらない。
「この著者とめちゃくちゃ波長が合うわw」
と思いながら読む。いや、それ書いてるのオレだから、波長が合うのは当たり前なのだが。
それが最近は、まったくおもしろいと思えない。
「うわぁぁぁ。よくこんなつまらない文章アップしたな」
などと思ってしまう。
元来、自己肯定感が強く、それ故幸せな人生を送れているのだと思うのだけれど、そんなぼくでも、調子の悪い日はあるのだ。
原因は、わからない。
そんな時は行動あるのみ!
と、柄にもないことを考えてしまう。まぁ、お天気も良さそうだからね。
準備万端で、早寝。
目覚ましより早く起床。
早すぎかとも思ったが、面倒なのでそのまま出発。
目指すは、小秀山という、王滝村にある岐阜県境の小さな山。少し遠いが評判はわりと良い。
出発して1時間半。王滝村の自然湖を通りかかる。
駐車スペースにクルマがあふれている。20台近く止まっているだろうか。半分はカメラマン。もう半分はワカサギ釣り。
気温はマイナス15度。
「この人たち、バカなんじゃないの?」
とは思ったのだが、思いがけず夜明けのタイミングだったので、ぼくも少し待って撮影することにする。バカ。
結局、期待したほどの朝焼けにはならず。バカ…。
名古屋ナンバーのハリアーハイブリッドから、美男美女のカップルが降りてくる。二人揃ってでかいカメラを三脚にセットし、二人並んで撮影。
そんな二人を見て、若干ムッとくる。嫉妬。
岐阜ナンバーのエクストレイルからは、控えめに言ってもいまひとつ冴えない、遠慮なく言ってしまえばぼくの方がマシな男が下りてくる。
「フフンッ」
と見ていたら、助手席から思いがけず美女が。
カチンとくる。
「ぐぬぬ」
腹立たしいので、ロクに焼けない朝焼けのピークが過ぎた瞬間、立ち去る。
こんなことにイラついている、自分に一番腹が立つ。
小秀山までの林道は、ウソかと思うほどの完璧な除雪がされている。
これまでにクルマが走った形跡もない。スタッドレスタイヤが雪をかむ音を聞きながら、気持ちの良いドライブ。
が、除雪は、突然終わる。なぜそこまでなのかは分からないが、ともかく、そこで終わっている。
目の前に立ちはだかる、雪道。
検討するまでもなく、クルマで乗り入れることは不可能な雪道。
むむっ…。
「行くぜ、オレが暴走王だ。3、2、1、ラッセル! ラッセル!」
暴走どころか、遅々として進まない。文字通り、亀の歩み。ホントに進まない。
無理もない。一歩進むごとに膝まで雪に埋まるのだ。初めてのラッセルは、予想以上の困難。
「もう限界だ」
とGPSウォッチに目をやれば、40分で600mしか進んでいない。勾配はほとんどないにもかかわらず、時速0.9km…。
とても大変。すぐ断念。ぼくの気持ちはとっても残念。(ラップ)
撤退。
帰りは、すでに踏み跡があるため、比較的、楽。
と思ったのは最初の数歩。
ガニ股で登ってきた足跡にあわせて踏み出すには、内股に歩かねばならない。
想像してみて欲しい。普段ガニ股で歩いている中年男が、雪景色の中、ヘトヘトになりながら内股で歩いている姿を。
股関節の強制ストレッチでは、とてもまともに歩けない。結局、帰りもラッセル。
ワカンでもあれば楽しいスノートレッキングだったかもしれないが、持っていないのでワカンナイ。
再び、自然湖へ。
全面結氷した自然湖の上に立ってみる。
海の上を歩いたという、キリストの気分で闊歩。
あちこち歩き回っていると、突然、
「ピキッ」
という音。
モーゼの気分を味わうつもりはなかったので、そそくさと退散。
その後、白川氷柱群を見て(ここは一見の価値ありです。行ったことのない方は、是非一度どうぞ)、木曽文化公園で3月にある落語(小遊三+ヨネスケ+一之輔で2,000円。お得でしょ!?)のチケットを買って帰宅。
疲労困憊。
ビール飲んでさっさと寝よう、と思ったら、由子の送迎が必要で、しかも奥さんは飲み会で不在。飲めない。
やむを得ず、こんなくだらない文章を書いてしまいました。
あー、もう、由子迎えに行ったらビール飲んで寝る。
この文章は絶対に読み返さない。
おやすみ。
2017年1月28日