COLUMN

 


寒さ対策

中央アルプス縦走。台風一過、最高の天気にも恵まれ、今シーズンを締めくくるに相応しい、素晴らしい二日間だった。

強いて不満を挙げるとすれば、同行の二人の、ぼくに対する態度だ。
夏の穂高合宿を経て、スルー力が格段に上がっている。
ぼくがジョークを飛ばしても

「あー、はいはい」
「でたでた」

という具合に、うすーい反応しか返してこない。
一番ひどかったのは

「はい、続けて続けて」

って奴。
もうね、MG5よ。マジギレ5秒前。
アタマにきて、黙る。

不穏な空気を察してか、二人が話しかけてくる

「チョコあげるよ」
「別にいらないけど」
「ちょこっと食べてみなよ」
「はぁ?」
「いや、亀ちゃん元気ないと、こっちも元気でないからさ」

ここで拒否るのもどうかと思い、「一目で義理とわかるチョコ」をいただくことにする。
不思議なもので、元気がわいてくる。
ありがとう。
場所は、ここからがクライマックスという、1時間半ひたすら急坂を登らなければならない地点。登り切った先が、目的地の空木岳山頂。
元気出していかねば。

「かなりの斜度だね」
「だねー」
「え、全然ないでしょ」
「いや、どう見てもかなりの斜度だよ」
「どう見ても全然ないじゃん」
「どこ見てるの?ここだよ?」
「直射日光、ガンガン当たってるじゃん」
「地図見てごらんよ。この等高線の間隔。これ、かなりの斜度だよ」
「いや、だから直射日光って…。シャドー」
「うっ…」
「んー」

三人、黙って登る。
そういえば、「沈黙の断崖」なんて映画もあったっけ、と観てもいない映画のタイトルを思い出しつつ、ひたすら登る。黙って登る。

お寒い雰囲気で、山頂、そして、駒峰ヒュッテに到着。
寒いのは、雰囲気だけではない。実際、風が強く気温も低かった。

「思いの外、寒いよ」

と、米っちょがどこかに電話している。家族にだろうか。

「男三人、寄り添って寝れば寒くないんじゃないの、だってさ」

はあ?誰だよふざけたこと言ってるのは?冗談じゃねーよ。
必要以上に間隔をあけて寝る三人。

さ、寒い…
めちゃくちゃ寒い。寒くて眠れない。ユニクロで買った1,990円のダウンを引っ張り出し、それを着てもまだ寒い。
結局、あまり眠れず、朝を迎えた。

初日の疲れも取れぬまま、二日目。
疲労困憊で、かなりのスローペース。遅れまくって、最後は日没後にヘッデン(ヘッドライトのこと。ヘッド+電灯なんだそうです)灯けての下山。これはホントにまずかった。

次回はくっついて寝ような。
 

2016年10月10日

 
 

 
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