COLUMN

 


最近ハマっていること

降りしきる雪。40年ぶりの寒波の襲来らしい。

「こんな日に行くの?」
「こんな日にしか撮れない写真があるんだ(キリッ」

撮影に出た先で、デッキバンがスタック。
助けを呼ぶ。
脱出。
帰宅。

「いやぁ、まいったよ」
「脱出シーン、撮ってきた?」
「いや、こっちも必死だから、そんな余裕ないし」
「ダメじゃん。ネタにならないじゃん。プライベート切り売りしてくんでしょ?」
「ちょ、待てよ」
「似てないし」
「モノマネじゃねーよ」
「もう一回、現場だけでも撮りに行ってきたら?」

「ゲスの極み乙女。」とは、ウチの奥さんのことを言うんじゃないだろうか。乙女という歳でもないが。
いずれにしろ、ぼくのLINEが流出する日も近いと思う。
LINEやってないけど。

助けは、クルマ屋に頼んだ。
このクルマ屋、駒ヶ根市内で、主に中古のイタリア車を販売をしている。
この店主が、驚くほどの無愛想。この店に行くたびに、商売の常識が揺さぶられる思いだ。

「お客さん来てますよ」
「知ってる」
「いらっしゃいませ、くらい言わないんですか?」
「さっき、こんちはって言ったよ」
「それだけ?」
「うわっ、車の下を覗いてるよ。マニアって、外回りじゃなくて、下見るんだよね」

いやいや、マニア相手の店じゃないか。

こんなこともあった。
ある日珍しく、古いタイプのBMWが並んでいた。

「お、カッコイイ!」
「やめときな。こんな古い車、マトモに動かないから」

嫁ブロックというのは聞いたことがあるが、まさか営業にブロックされるとは思わなかった。
彼の営業トークなど、聞いたことがない。とても商売する気があるとは思えないのだが、開業以来10数年、結構やっていけているようだ。

そんなクルマ屋に助けてもらう。
けん引するのはトヨタヴァンガード。そのクルマ屋から買った、ぼくの愛車だ。
うなるV6エンジン。むなしく空回りする18インチアルミホイール。

「ダメかぁ」
「いや、まだ手はある」

なんでも、クルマの左右のタイヤは、別々に駆動しているのだとか。lockボタンを押すことで、左右のタイヤを繋ぎ、空回りしないようにできるらしい。

グオオオォォォ…

見事に脱出成功だ。
よかった。

「おお、やったね!」

ヴァンガードから嬉しそうな顔で、クルマ屋が駆け下りてくる。彼のあんな笑顔を、ぼくはいままでに見たことがない。

「いや、だけどこれ、ジムニーなら自力で脱出できたんじゃないかな」

も、もしかしてそれは、営業トーク?
 

2016年1月24日

 

 
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