COLUMN
三ツ星レストラン
「On This Day」という機能が装備されてから、Facebookが楽しい。この機能によって、Facebookは日記帳として優れたツールとなった。
加齢のせいかもしれないけれど、過去を振り返ることが楽しい。
加齢のせいに違いないが、時間の感覚がおかしい。今年の二月、パシフィコ横浜での御苗場に出展し、トークショーまでやらせてもらった。それが「今年」ということに驚く。感覚的には、2~3年前だ。
という具合に振り返ることが楽しいので、未来の自分に向け、今年はせっせと投稿した。日記なので大したことは書いていないし、公開もしてないけれど。
大晦日。今年一年を振り返る。
一番の出来事は、長野日報に大きく載ったことだろうか。
その件についてちゃんと書いてなかったし、各方面にお礼も言わなければいけないので、改めて書いてみよう。
2015年12月1日付けの長野日報、ラッピング紙面A面にぼくの写真を採用してもらった。
このラッピング紙面は、長野日報が3か月に一度行っている企画で、大きな写真とエッセイが特徴だ。
保育園時代から、なので、最も古い友人である白石淳一君が、長野日報社に勤めている。
彼から電話が掛かってきて
「冬の良い写真ない?」
とのことで、何枚か提供した内の一枚。
恐らく、エッセイのライターが書きやすい写真ということで選ばれたんだと思う。エッセイも、写真にピッタリの内容だった。
という経緯があったにしろ、うむ、載ってしまえばこっちのものだ。
しばらく音信の途絶えていた友人から
「見たよ」
と連絡もらったり、薬局でお客さんがすごく話題にしてくれたりと、良いことずくめ。
長野日報社の担当部長から電話が来た
「写真を譲って欲しいという問い合わせがいくつもありますが、どうされますか?」
考えてもみないことだったが、ラッピング紙面の写真には、今回のぼくの写真に限らず、毎回新聞社への問い合わせが多いそうだ。
予想しなかったことなので
「ちょっと考えさせて下さい」
と返答。
以前、知人も掲載されているので、その時どうしたのか、電話してきいてみた。
「プリント代の実費だけもらって、配ってまわったよ。交通費なんかは無視でA3で1,000円くらい」
「なるほど」
「自分の写真を欲しいって言ってくれるなんて嬉しいことじゃん。気持ち的には、こっちが払っても良いくらいだよ」
「ですよねー」
多くの人がそういう反応になるのではなかろうか。実際には、郵送の手間などを考えて「すべてお断りしている」というケースも半分くらいらしいが。
でも、ぼくもこういう経験は一生に一度のことだろうから、普段から付き合いのある「写真に詳しい専門集団」を標榜する某社(←名前出して良いのか分からないので伏せておきます)に、こういう場合どうするべきか、電話で問い合わせてみた。
「直感で答えますよ。A3ワンサイズ5万円ですね」
「ええええぇぇ!」
「不満ですか?」
「いやいやいや、滅相もない」
「プロとしての一歩目。そこからスタートですよ」
「プ、プロ…え、えーと、A4で欲しいって人にはいくらに」
「亀田さん、写真は量り売りじゃないんですから」
「は、はい」
「お金に困ってるってことなら安く設定する手もありますけど、そうでないなら安売りしない方が良いですよ」
恐ろしい話になってきた。
いくらなんでも、あの写真に5万はないだろう。値段を伝えるだけでも、勇気がいるわ。
勇気を振り絞り、長野日報社に電話。
「で、どうされますか?」
「ご、ご、ご、」
「ご?」
「5万円でお願いします」
「ええっ!?」
「…」
「いやぁ~…亀田さん、送料は込みですか?」
「…は、はい」
部長、最後は半笑いじゃネーか。
注文は、まだない。
2015年12月31日
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