COLUMN

 


野球の終わった日

野球を観なくなって久しい。
観ようという意志を持って観た最後は、憶えていないけれど、たぶん20年近く前だ。
日本球界にいる現役選手で知っているのは、もはや松坂大輔だけじゃないだろうか。
昨年、病院の待合で目にした高校野球は、もうルールさえ変わっていた。いつ変わったのだろう。さすがに驚いた。

25年前までは、ずっとプロ野球を観ていた。
12球団の選手のほとんどを知っていたし、投手の持ち球までほぼ把握していたはずだ。
でも、好きな選手は特にはいなかった。
ひたすら、野村克也が好きだった。

著書も、よく読んだ方だと思う。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」みたいな自己啓発的なのも嫌いじゃなかったけど、ホントに好きだったのは、もうちょっと作戦とか配球とかそういうの。まぁ、配球を理解するところまではぼくにはムリだったけど。
多くの人が追悼コメントを寄せているけれど、興味深かったのはスコアラーだった安田さんという人のもの。
「調べてみると、松井はファーストストライクを見逃した後、それと同じ球種を4割の確率で打っていた。」
こういうのが好きだった。
あとは、心理的なもの。
捕手として投手のリード。打者はインコースを待っている。そんなとき
「インコースに投げるな」
と言うと、必ずインコースに投げてしまう。
「アウトコースに投げろ」
と言わなければならないのだとか。
なるほどと思って、一度自分の子供で試してみたんだけど、ホントだった。やってはいけないことがあるとき、それを禁止するのは悪手。別のことをやらせないといけない。

野村克也が死んだ。
野村自身は
「野村ー野球=0」
と言っていたけど、ぼくにとっては
「野球ー野村=0」
だなぁ。
 
 

2020年2月11日
 

 

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