COLUMN
商業広告の撮影に同行しました
東京から撮影部隊が駒ヶ根にやってきた。
CMS社絡みの来訪は、いつだって突然。だから、もうそれほどおどろかない。
そして、今年何度目かの西駒登山。
登山と言っても、ロープウェイで行くのだから、登山とも言えない。天気の好転を祈る以外に、特別な高揚感もない。
が、驚くこともある。
千畳敷カールに降り立つ。
編集長が、ぼくに向かって声をかける
「じゃ、行きますか」
「え?」
「よろしくお願いします」
「は?」
これまで、西駒で撮影と言っても、千畳敷カールでサラッと撮影するくらい。今日も当然そうだろうと思っていたら、
「宝剣山荘までお願いします」
いやいやいやいや。オレ、ガイドじゃネーし。
「亀田さんの地元ですよね?」
オレの地元は、ここから2,000メートル下だから。
しかし、ぼくは学生時代、見たこともない映画のレポートで「優」をもらった男だ。なんとかするしかない。ふと見ると、登山用リュックではなく、段ボールで物資を運ぶ人がいる。この人に着いていけばなんとかなるだろう。
なんとかなるもんですよ、世の中。三十年ぶりに訪れる宝剣山荘。
なんともならないのは、お天気。山頂、激寒。
本格登山をするとは思っていなかったから、まるっきりの軽装。一応持ってくか、とリュックに押し込んだカッパがなかったら、ぼく死んでましたよ。
まぁ、こうして死なずに帰って来たわけですが。
それにしても、今回の登山は、なんか新鮮な驚きの連続でした。
同行したメンバーが、もうみんなキャラが立ってる。
まずは美人モデル。めっちゃキレイ。で、すごくカッコイイ。いるんだね、こういう人。これまでの人生で、まったく出会わなかったわ。やっと出会った。でも、いまさらだわー。10年遅いわー。
次は、イケメンフォトグラファー。ホントにイケメン。そして爽やか好青年。もう、ケチの付けようがない。
で、なんとこの二人が夫婦。
まいったまいった。オジサン、完敗だ。もうね、若い二人に乾杯!オジサンも、若い頃はキミタチみたい……では全然なかった。どうすりゃ、そんなに爽やかなのさ?
この二人を軸に、他のメンツもハンパない。もう、トレンディードラマですよ。
もう一人のモデルは、これまた本来はフォトグラファーという彼。この彼がまたイケメン。イケメンなのに心得ていてね、道化役を買って出るわけですよ。なにそれ、ステキすぎでしょ。
そして、謎の人物。世界を放浪した挙げ句、インドにあるスパイスばかり売っている村に行き着き、スパイスに魅せられる。そして、(波瀾万丈の人生をまるっきり端折るけど)現在カレー屋。まさに、SPICE GIRLS。いや、BOY。いや、BOYよりはだいぶ年配。この人の話は格別におもしろかった。
ホント、こんな人たち、ドラマの中にしかいないと思ってた。
感動したわ。
と、幸せな気分に包まれながら、帰宅。
いつも配達に行く時間は、少し過ぎている。
奥さんは在宅。
恐る恐る聞いてみる。
「もしかして配達に行ってくれた?」
「え?」
「いや、ぼくもちょっと疲れてるから…」
「は?」
「…行ってきます」
いやね、若い夫婦だって、十年後にはこうなるよ。て言うか、なれ。
楽しい一日でした。
(追記)
この日の商品撮影はレトルトカレー。それをたくさん頂いて、後日食べたのですが、これがもうメチャクチャ美味い。
レトルトの既成概念が崩壊。これ、それなりのお皿に盛りつけたら、カレー屋で出されても分からない。「おー、本格的ですね」とか言っちゃうね。
皆さんも、是非。
にしきや
2014年8月27日