COLUMN

 


本「本能寺の変 431年目の真実」

ウチの奥さんは、清水の次郎長の流れを汲む一族の出だ。
と言っても、次郎長には子どもがいない。次郎長の姉の系譜、という繋がり。
法事で親戚が一堂に会した折、次郎長のことが話題にのぼった。

「我々は次郎長の一族だ」
と誇らしげに言う人。
もう一方では
「所詮ヤクザじゃないか」
と苦虫を噛み潰す人。
だいたい半々。

いずれにしても、それが話題の中心かというと、そうでもない。ぼくのようなよそ者に対し、「知らないかもしれないから教えておくけど」程度の扱い。

そもそも、次郎長を歴史上の人物と呼ぶべきなのか、正直微妙だ。
仮に彼を歴史上の人物と呼ぶのだとして、まぁなんだ、言い難いのだけれど、ぶっちゃけ小物だよね。

では、大物の子孫となると、その辺どうなんだろう?
一冊の本を読んだ。

「本能寺の変 431年目の真実」/明智憲三郎/文芸社文庫

タイトルと著者名から、賢明な読者諸氏はおわかりだろう。
そう、明智光秀の子孫が書いた「本能寺の変」。
明智子孫、魂の叫び!膨大な文献を渉猟し、明らかにした「真相」。

誰もが「明智=裏切り者」って思う。そして、「裏切り者」以上の汚名などない。
謂われなき(て言うか、謂われがあるからタチ悪いんだけど)汚名をなんとか晴らしたい。その気持ち、その執念。わかる。

ぼくは歴史オタクと言うほどではない。司馬遼太郎の本を何冊か読み、いくつかの大河ドラマを観て、ゲーム「信長の野望」を多少プレイしたくらい。
ただ、その程度であっても、やはり「本能寺の変」は謎だった。
「えっ、なんで?」
と、どうしても思う。あまりに唐突。何の脈略もないからだ。

この本では、その謎が見事に解き明かされている。
もちろん、個別の事例が正しいのかどうか、ぼくには判断できない。であっても、全体として、非常に納得のいく結論だった。
なるほど、そうだったのか。
ぼくはこの本に書かれた「真相」を支持したい。

すでにベストセラーとなっているので、読まれた方も多いと思うけれど(ぼくは完全に見落としていて、先日、子どもに「本能寺の変」というくだらない動画を検索させられた時に初めて知りました)、未読の方は是非ご一読を。

あ、ちなみに、これ読んでなお、明智光秀はあんまり好きじゃないです。ごめん。

2015年9月16日

 
 
 
 

 
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